筑波大

「最後は疲れていても二上と井上に託しました」

インカレの男子ベスト8、筑波大は日大を相手に第3クォーター終了時点で14点のリードを許す劣勢に立たされながら、残り16秒に追い付き、ダブルオーバータイムの大熱戦を81-78で制した。

これで筑波大学は8年連続となるベスト4進出。振り返れば日大には11月6日の関東大学リーグ戦で50-84と大敗を喫している。ここからの見事なカムバックは、まさに『インカレに強い筑波』の本領発揮だった。

一発勝負で何が起こるか分からないインカレで、なぜ筑波大はここまで安定したパフォーマンスを見せられるのか。その大きな要因は4年生の存在であり、この肝となる部分は今年も変わらない。ガードの二上耀、ビッグマンの井上宗一郎の4年生コンビがチームを支えている。

筑波大の吉田健司ヘッドコーチは、2人への絶大な信頼を強調する。「4年生が引っ張るのが大学スポーツです。今まで優勝したチームは4年生が引っ張って結果を出してきました。苦しいところで4年生に任せて、これで入らなくて負けても仕方がない思いです。だから、最後は疲れていても二上と井上に託しました」

その指揮官の思いに2人は答えた。揃ってファウルトラブルもあって序盤は苦しんだが、二上は第4クォーターにドライブからの連続得点で大逆転を牽引した。

井上宗一郎

井上「負けないで次に繋がった。ここは通過点です」

「3ポイントシュートは今シーズン、自信を持っている武器。迷いなく打っていこうと狙っていました」と語る井上は、残り16秒で同点の3ポイントシュートを沈めると、終盤は身体を張って日大の強力センターであるデイビッド・コンゴローをよく抑えた。最終的に二上が20得点4リバウンド3アシスト、井上は22得点8リバウンドと文句なしのパフォーマンスだった。

二上は、「最後は4年生、というのは一人ひとりが分かっていると思います」と語る。その上で、第4クォーターに強力なドライブで得点を量産できたことは、彼にとって一つの壁を乗り越える契機となるものだ。

「10点差以上離れていて、最後は自分が点を取りに行かなければいけなかったです。自分がやらないとダメな状況で点を取っていくことは、リーグ戦から課題にしていた部分です。その課題を少しは克服できたと思います」

一方、井上は4年生としての強い思いがあるからこそ、下級生中心の日大に対してメンタルの持っていき方を誤った部分があったと反省する。「僕たちはチャレンジャーの気持ちを持たないといけないですが、相手は下級生中心のチームで絶対に倒してやる気持ちでした。そのところで謙虚さが足りなくて最初、飲まれてしまいました」

ただ、勝って反省できたのは明日以降のさらなる成長に繋がる要素と今はポジティブにとらえるべきだ。「ベスト4に入れたというより、負けないで次に繋がった。ここは通過点です」と井上が言うように、筑波大が目指すのはあくまで頂点のみ。このゴールへ向け、大きな弾みのつく1勝となった。

今日のインカレ男子は、東海大vs専修大、白鷗大vs筑波大の準決勝2試合が行われる。