キングスに欠けているのは「僕みたいな選手」
昨年に続き、今オフも琉球ゴールデンキングスはリーグを代表する積極的な補強を実行した。その中でも最もファンを沸かせたのが、2014-15シーズン以来となる並里成の復帰だ。抜群の身体能力を生かしたゴール下への鋭いドライブでシュートチャンスを作り出すと、守備でも激しいプレッシャーでターンオーバーを誘発していく。この攻守に魅せるプレーとともに、地元出身であることも並里が琉球のファンから絶大な支持を受ける理由だ。
新チームで初の実戦となるアーリーカップ関西大会では、まだまだ試運転の段階ではあっても並里は攻守で持ち味を存分に発揮し、チームの大会連覇に貢献している。
今シーズンの琉球はチームの顔である岸本隆一に、新加入の並里、橋本竜馬、さらに残留組の石崎巧と司令塔をこなせる実績ある選手が揃う。アーリーカップでは常に2人、時には3人と同時にコートに立っていたが、「すごくやりやすいです。みんなポイントガードで、より気が利きますし、サイズの小ささを感じることはなかったです」と好感触を得ている。
そもそも並里が、琉球への復帰を決めた要因はどこにあるのか。「もちろん僕が生まれ育った場所であって、地元のチームということもあります」と地元愛を語るが、それだけでなく優勝を狙えるチームで自分が本当に必要とされていることを強調する。
「優勝を目指すキングスに何が欠けているかと言ったら、僕みたいな選手ではないかと自分なりに思いました。それが決め手でした」
佐々宜央ヘッドコーチとの考えの一致も移籍の後押しになった。「たまたま会ってバスケの話になった時、ちょうど昨シーズンのキングスのプレーオフ千葉戦について、ここが足りないよねとか、こういうバスケしたいよね、というところで一致したんです。ヘッドコーチが求めているバスケに僕がフィットする、そういう共通認識を持てました」
「真面目な良い選手が多い中、悪い選手も必要(笑)」
並里の求められているのは冒頭で触れた攻守にインテンシティの高いプレーだが、他にも「経験豊富な選手が揃っているみんなの良いところを引き出したい。自分の持ち味をなくさず、という部分についても継続していきたい」と、司令塔としてチームメートを生かす役割にもこだわりを見せる。
チームを離れていたこの3シーズン、外から見た琉球の印象について並里は「あまりそういうことを意識したことないんですが、すごく真面目な選手が多い。本当に良いバスケをするなっていう印象はあります」と言う。
だからこそ、他のメンバーとはスタイルの異なる自分の加入でチームを変えられると考えている。「真面目な良い選手が多い中、僕みたいな悪い選手も必要じゃないかと(笑)。僕がチームのスパイスとなる。それも勝ちには重要になってくると思うので、上手くバランスをとってやっていきたいです」
並里が激辛のスパイスとなって対戦相手を苦しめられるか。それは琉球が昨シーズン以上の成績、つまりファイナル進出からのリーグ制覇を果たすために欠かせないポイントだ。
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