ディアロン・フォックス「今は切り替えてプッシュし続けないと」
2016年春の時点で、ルーク・ウォルトンにはヘッドコーチとしての輝かしい将来が約束されているように見えた。『王朝』時代を迎えようとしていたウォリアーズでアシスタントコーチを務め、ヘッドコーチのスティーブ・カーが病気療養で不在の間に指揮を執ると、NBA新記録となる開幕24連勝をマークし、カーの復帰まで39勝4敗という成績を残した。
そしてレイカーズのヘッドコーチに就任。ウォルトンにとっては現役時代に9シーズンを過ごし、2度のNBA優勝に貢献した古巣だ。36歳は当時のNBAのヘッドコーチとして最年少。レイカーズは低迷期にあったが、就任2年目にチームはレブロン・ジェームズを獲得してヤングコアを組ませることで戦力が充実した。
ここで結果を出せずに解任されるも、彼の評価はいまだ高かった。レイカーズでは結果を残せなかったが、その経験が次に生きると信じられていたし、スティーブ・カーも「選手が信頼し、この人のためならプレーしたいと思える指導者だ」とウォルトンを称えている。実際、退任が決まって1週間とたたないうちにキングスのヘッドコーチ就任が決まった。
勝利から遠ざかっている若手中心のチーム、という点ではレイカーズと共通していても、『今すぐに勝たなければいけない』というレイカーズ特有のプレッシャーはサクラメントには存在しない。若手とともにウォルトンも成長し、長期に渡り成功を収めるチームを作ってくれれば、という期待の中でのキングスの船出となった。
しかし、物事は思うようには進まない。1年目も2年目も勝率5割を超えられず、プレーオフ進出は果たせず。勝敗以上に周囲を失望させたのが、2年間で積み上げたものが見られなかったことだ。勝てないために毎年ドラフトで有望な新人が入って来るのだが、エースシューターのバディ・ヒールドや2018年ドラフト2位のマービン・バグリー三世はウォルトンと合わずに実力を発揮できない。「こんなはずではなかった」との思いが渦巻き、キングスは迷走を続けていた。
今シーズンは開幕から5勝4敗と無難なスタートを切ったかに見えたが、そこから1勝7敗と失速。ここに至ってフロントはウォルトンの解任を決断した。チームの指揮はアソシエイトヘッドコーチのアルビン・ジェントリーに暫定的に託される。
ディアロン・フォックスは解任の報を受けて「少しショックだった」と語るが、この11月22日にも試合があり、そちらに集中しようとしている。「何が起きたかを気にしながら試合に臨むようではいけない。すぐにプレースタイルが大きく変わることはないだろうから、今は切り替えてプッシュし続けないと。チーム内外で何が起ころうとも言い訳にはならない。プレーしなきゃいけないんだ」