大塚裕土

天皇杯でアルバルク東京に挑むも、79-96で敗れる

10月31日、元オーストラリア代表のアンドレ・レマニスが指揮官を務め、B3の新規参入チームとは思えない充実の戦力を有しているアルティーリ千葉が、天皇杯3次ラウンドでアルバルク東京と対戦した。B1の優勝候補に挙げられるビッグクラブを相手に79-96で敗れてしまったが、評判通りのポテンシャルを見せた。

前半に限れば41-46と互角の勝負を演じた。A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチが「フレンドリーな試合になってしまった。もっと強く、安定したディフェンスをする必要がありました。オフェンスリバウンドを何本か取られ、オフ・ザ・ボールで相手を見失いゴール下へのカットを許すなど、イージーバスケットを与えすぎました」と反省したように、特に前半は相手のソフトなプレーが目立った。ただ、相手の隙を見逃さずしっかりと得点を重ねられたのは見事であった。

この試合、厳しいマークを受けながらも3ポイントシュート2本成功を含む10得点を挙げるなど、中心選手としてA千葉を牽引した大塚裕土は試合をこう振り返る。

「前半、コーチが考えていたプレーが遂行できて我慢できていました。後半はちょっとソフトにオフェンスで入ってしまい、相手のタフショットから離されてしまいました。そこがきっかけだったと思うので、そこで我慢し、自分たちのリズムに引き込めればもう少し良いゲームができたと思います」

第3クォーターの出だしで一気に離されてしまった要因についてレマニスは、「自分たちが常にしっかりやっていこうと言っているリングへのアタック、ボールムーブメントが相手のインテンシティが激しくなったことでできなかった」と総括する。

大塚裕土

「もっと自分たちのリズムの中でより良いシュートが打てました」

大塚は、課題を次のように考える。「やっぱりミスが1つ、2つ出ると一気に離されてしまいます。そこは自分がコントロールすべきところで、ただ空いたから打つのではなく、もっと自分たちのリズムの中でより良いシュートが打てました」

ただ、これも相手がA東京と、Bリーグを代表するトップチームと対戦したからこそ痛感させられた経験だ。「B3でやっている時はまぎれてしまって出てこないですが、わずかなミスからでも離されると危機感をもってやらなければ、B1のチャンピオンシップに絡むチームには到底かなわないです。そこはチームの課題として改善できます」

また、23歳の藤本巧太が9得点3アシスト、杉本慶が5得点7アシストと強気なドライブから攻撃の起点となっていたのもA千葉にとっては明るい材料だ。大塚も彼らを称える。「ディフェンスのプレッシャーが強い中、横を見るのではなく、プレーコールしながら相手が激しく来たらどんどんリングにアタックしていくのがコーチのバスケットです。逃げずに立ち向かって行けたのは非常に良かったと思います」

今の自分たちより2つ上のカテゴリーの相手とはいえ、もちろん試合に負けたのは悔しいもの。ただ、難敵と戦ったからこそ得られた収穫と課題はある。最短2年でのB1昇格を目指すA千葉にとって、今はB1で戦える土台を作る時期。昨シーズン、川崎ブレイブサンダースの天皇杯優勝に貢献するなど、トップリーグでの経験豊富な大塚はコート内外において指南役として大きな役割を担えることを示した一戦となった。