ブラッドリー・ビール

ディンウィディーが復活をアピール、八村塁は近々チームに合流

ウィザーズはプレシーズンゲーム2連敗のスタートとなった。初戦のロケッツ戦に119-125で敗れたのに続き、現地10月9日に行われたニックス戦では99-117と完敗。ただ、ラッセル・ウェストブルックとのトレードがあって主力選手の半分以上が入れ替わり、ヘッドコーチ交代もあったチームはまだ始動したばかり。ケミストリーを構築するというよりは、お互いを知るところからのスタートで、ウェス・アンセルドJr.がこのチームに植え付けようとするチームディフェンスもまだコート上では確認できない。

ニックスにはフィールドゴール84本のうち52本もの3ポイントシュートを打たれ、46.2%にあたる24本を決められた。ディフェンスはむしろ全く機能していないとも言える数字だが、この時期に慌てて何かが改善できるものでもない。多くの選手たちがコンディションに問題なくプレーできていることで、まずは順調なスタートを切ったと見るべきだ。

右膝前十字靭帯の部分断裂という大ケガを負っていたスペンサー・ディンウィディーの獲得はウィザーズにとって一つの賭けだったが、この2試合でいずれも先発出場し、激しい接触プレーにも臆すことなく彼らしいプレーをして14得点、13得点と復活を印象付けている。ニックス戦では足首の骨折から回復したデニ・アブディヤが半年ぶりにプレーした。メンタルヘルスの問題でトレーニングキャンプに参加していない八村塁も、間もなくチームに合流すると報道されている。このチームに必要なのは目先の結果ではなく、それぞれが良いコンディションを維持して、チーム内競争の中でレベルアップしていくことだ。

ウィザーズにとっては新チームが順調なスタートを切るのと同時に、ブラッドリー・ビールの契約問題も重要だ。そのビールとウィザーズの契約はあと2年残っているが、最終年はプレーヤーオプションであり、今シーズン終了後に彼はフリーエージェントになることができる。ウィザーズとしては、ジョン・ウォールに続いてビールを失うのは絶対に避けたいシナリオだ。

ビールにはすでに4年1億8150万ドル(約200億円)の契約延長が提示されているが、彼はチーム始動の時点で「僕の関心事はチームが良いスタートを切るかどうか。契約やその他のことは後でいい。まだ1年あるから、急いではいない」と語り、開幕に向けた準備に集中している。

「良い補強ができたと思うけど、ただコートに送り出すだけで上手く行くわけじゃない。どうやってそれぞれが噛み合い、勝つための正しい方法を見付けるのかを探っていかなければ。でも、まずは勝つために必要な要素が揃ったと思っている」

ビールは来年の夏まで待てば、5年2億3500万ドル(約260億円)の契約を得ることができる。ウィザーズに残るとしても、これを待っての再契約を選ぶだろう。ただ、ビールが退団を選ぶ可能性があるのだとしたら、ウィザーズはチームのトップスター選手をみすみす失うわけにはいかず、トレード期限までにその意思表示をするよう求めるはずだ。それでも少なくとも現時点では物事は正しい方向に進んでおり、トレードを模索するよりもチームの成功だけに集中するほうが健全だ。

新たなヘッドコーチの下では八村やダービス・ベルターンス、アブディヤ、12月復帰予定のトーマス・ブライアントも出場機会をチーム内競争で勝ち取る必要がある。今のウィザーズに必要なのは、チーム内競争の中でレベルアップしていくことだ。