食と健康をテーマに様々なアクティベーションを企画する『RESILENZ』(レジレンズ)が、香川ファイブアローズとコラボレーションする。年明けからホームアリーナの高松市総合体育館で、原宿で仕掛ける新しいサンドイッチを出店し、香川県の食文化を盛り上げるイベントも開催していく。香川の特産品や名産品の素晴らしさを伝える場ができることで、香川ファイブアローズにとっては新しいファンとの『触れ合い』が生まれる。バスケだけではないエンタテインメントを地域に提供するプロジェクトをスタートさせた、香川の藤田秀彰代表と『RESILENZ』を手掛ける近藤優に話を聞いた。
「4年後の新アリーナでどれだけのエンタテインメントを提供できるか」
──『RESILENZ』は生産者と飲食店、消費者を繋ぐプロジェクトだと聞いています。香川ファイブアローズと一緒に始める『食のプロジェクト』について教えてください。
近藤 私は長くジャズバーをやってきて、地域のボランティア団体などの付き合いが多く、プロスポーツクラブの地域密着ではないですが地域を盛り上げる活動にはできる限り協力してきました。今このタイミングで『RESILENZ』を立ち上げて、単なる店舗運営ではない『食のプロジェクト』として、まずはファイブアローズさんと香川県に盛り上がりを作りたいと思います。地域密着が具体的に何かと言えば『触れ合い』で、その一番分かりやすい形が飲食だと思っているので。
藤田 ファイブアローズは15年ほどの歴史がある中で、「応援してあげるよ」と出店してくださる地元のお店が飲食を支えてくださっています。それでも我々はこれから成長していかなければいけないクラブで、大きな目標は新アリーナができる4年後に、どれだけのアリーナエンタテインメントをお客様に提供できるか。それによってどれだけのアリーナビジネスを作ることができるか。バスケだけでなく、食を含めたあらゆる面でのレベルアップが必要となっています。一番大事なのは新しいお客様と触れ合う機会をどう増やすか。いろんな角度、いろんな入り口でファイブアローズの知名度を上げていきたい。でも我々スポーツ球団が飲食を充実させようと思っても、出店者さんに声を掛けるぐらいしかできません。我々が自分たちで新たな何かを作り出すのは難しい部分もあります。そこで今回『RESILENZ』さんからお話をいただいて、『食のプロジェクト』をきっかけに試合会場に来る人が、そこからファイブアローズに興味を持ってもらう。そういう入り口ができるのは非常にありがたいし、面白いです。
近藤 正直、私たちがやりたいのはアリーナエンタテインメントと呼ぶよりもっとシンプルで、「生産者と飲食店、お客さんを繋げること」なんです。その全員が交わって、楽しんで、みんながメリットを得られる。それを香川で新しくできるアリーナを見据えて大きくしていきたいです。これが3カ月後にアリーナができるという話だと面白くありません。まだまだ先だからこそ、理想の姿をイメージしながら少しずつ形にしていくことができます。
藤田 新しいアリーナは周辺にかなりスペースが取れますし、中は吹き抜けになったりしていて、ホームゲーム開催時には試合以外にも様々な仕掛けが可能になります。もちろん魅力的なバスケでお客様に来てもらうのも大事ですが、それとは別にワクワクするようなことを用意して、お客様に「一度行ってみよう」とか「子供を連れて行こう」と思ってもらい、香川県の盛り上がりを作っていきたいですね。
近藤 そうやって我々のプロジェクトを大きくして、ファイブアローズにも大きくなってもらいたいです。
藤田 先に『バスケット・カウント』で取材を受けた時にも話したのですが、香川ファイブアローズはBリーグに参入してバスケの興行をやりますが、会社全体としてはもっと広い意味でエンタテインメントを作って事業化したいと思っています。先日も東かがわ市長にお会いした際、記事をしっかり読み込んでいて、「新しいことを始めるんですね、面白そうですね」と期待感を持ってくれていました。そういう意味でも手応えを感じています。
近藤 バスケの試合観戦も含めたいろんなエンタメを楽しむことのできるイベント会場、ホームゲームのたびにアリーナとその周辺でフェスをやっている、みたいになれば。年明けからアリーナグルメに出店する予定で、今は何を出せばバスケファンにとって食もエンタメだと思ってもらえるか、生産者の方々とメニューを作っているところです。
「2月の5日と6日のホームゲームでは『食のフェス』を計画しています」
──香川ならではの食材を使ったりするんですか? 香川出身の渡邊雄太選手も、いつも香川のうどんを絶賛しています。
藤田 皆さんうどんの話をしますが、実際は他にも美味しいものが多いんですよ。地元の方々にとっては、新しい食の発見みたいなものがあれば刺激的だと思いますし、そうやってバスケ以外にも楽しめる会場でありたいです。
近藤 私は先日、三豊市の生産者を訪ねて回ったのですが、マニアックな塩作りをしている方とか、面白い人がいるんですよ。もちろん魚介類も美味しいし、限られた日数で自分なりにいろんな方と話してワクワクさせてもらえました。生産者の方々にこだわりが強いし、いろんな名産があります。香川県の食を一つにまとめれば大きなパワーが生まれると思います。
藤田 『瀬戸内国際芸術祭』のようなイベントを10年がかりで成長させてきた実績もありますから、香川にできないわけじゃないんです。食が芸術のようにエンタメとして上がってこなかった理由は分からないのですが、良くも悪くもうどんのイメージが強すぎたのかもしれません。みんな香川に来たら「まずはうどん!」だし、そこで満足してしまうので。うどんだけじゃない魅力を発信したいですね。
近藤 我々は原宿で新しいスタイルのサンドイッチの店舗をオープンさせたばかりです。東京の原宿でヒットしたサンドイッチを香川に持っていく、という取り組みを考えています。1月からアリーナグルメの一つとして出店させてもらい、香川の食材を使った洋食のサンドイッチを販売する。そして2月の5日と6日のホームゲームでは『食のフェス』を計画しています。今考えているのは『激辛の祭典』です。香川の唐辛子はすごく良いんですよ。
藤田 それが新しいお客様とファイブアローズが触れ合う接点になる。すごく良いですね。
近藤 2月は香川の唐辛子を押し出した『激辛の祭典』。そういったイベントを続けることで、ファイブアローズのホームアリーナを香川の人たちが定期的に盛り上がる場所にできればと思います。もう一つ野望があって、このプロジェクトと並行して、香川のうどん屋さんすべてに置かれるような新しい調味料を作りたいと思っています。香川の唐辛子に東京のアイデアを入れた商品開発ですね。まずはうどん屋さんをひたすら回ろうと思います。15kgぐらい太る覚悟で(笑)。
藤田 バスケと飲食、上手く噛み合ってBリーグの他のチームにはない盛り上がりを作りたいですね。新しい風を吹かせるにはいろんなエネルギーが必要です。数ある地方の中で皆さんが「香川でやろう」と思ってくれたのは本当にラッキーだし、ありがたいと思っています。
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