ライアン・ロシター

琉球相手に初戦はまさかの無得点、チームは連続の逆転負け

昨シーズン、アルバルク東京は新型コロナウィルスによるチームの活動停止、故障者の続出とアクシデントが重なったことが響き、リーグ3連覇を逃すだけでなくチャンピオンシップ出場まで逃した。それでも今オフにはライアン・ロシター、セバスチャン・サイズ、安藤周人とリーグ随一の大型補強に成功。田中大貴とアレックス・カークを軸とした既存の戦力と合わせた充実の陣容で、王座奪還への期待が大きく高まる中で開幕を迎えた。

しかし、琉球ゴールデンキングスの敵地に乗り込んでの先出し開幕となった9月30日の今シーズン初戦は、第3クォーターまで自慢の堅守で主導権を握りながらも第4クォーターに8-18と失速し、62-63の逆転負けを喫した。中1日を置いての第2戦は、第3クォーターに27-13と突き放し逆転に成功したが、再び第4クォーターに14-29と圧倒されて、2試合続けて終盤にひっくり返されて敗れた。

A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、「現段階ではフィジカル面のスタミナ、コンディションで我々の目指すべき完成度、レベルに到達していない」と試合を振り返った。そして、新戦力と残留メンバーの融合がまだまだだと語る。

新戦力のプレーぶりを見ると、サイズは2試合ともオフェンスではローポストからのシュート、アウトサイドシュートをバランス良く放つなどお馴染みのプレーだった。また、安藤も確率こそ悪かったが、持ち味の3ポイントシュートを積極的に放ち、2試合目にはゴール下への豪快なダンクを決めるなどインパクトを残した。

この2人と比べても、ロシターはフィットするのに苦戦していた印象が否めない。サイズ、安藤に比べても合流時期が遅れていたとはいえ、初戦は29分のプレータイムでフィールドゴール自体も5本と少なく、まさかの0得点。2試合目も最終的には11得点を挙げたが、前半は無得点だった。

ライアン・ロシター

「僕たちにはチームとしてまとまるための時間が必要です」

もちろんロシターは、得点だけの選手ではない。1試合目は8リバウンド4アシスト3ブロック、2試合目は9リバウンド2アシスト3スチールと、オールラウンダーとしての貢献は流石だった。一方でシュートセレクションは彼らしいものではなかった。

「2試合、残念な結果に終わってしまいましたが、隔離期間や加入の遅れなどいろいろな要素があります。チームメートとのケミストリーはまだ出来上がっておらず、チーム全体として噛み合ってないのが現状です。この連敗は予想外で、新加入でまだ勝てていないのは歯痒いです」

ロシターは連敗スタートをこう総括する。そして連夜の第4クォーターでの失速も「ケミストリーが要因だと思います」と続ける。「特に4クォーターの戦い方について、まだはっきりと見えていない。その課題が今回の2試合で出てしまいました。そこはまだ探っている段階です」

下馬評が高かっただけに、A東京の連敗に驚く人は少なくない。だが、ロシターは「リーグ、メディア、他のチームは僕たちが連敗したことに、大きな反応をしたいのかもしれない。だけど僕たちにはチームとしてまとまるための時間が必要です」と、現状を冷静にとらえる。その上で、今回は琉球の戦いぶりに敬意を払うべきだと強調した。

「まだ58試合残っています。長いシーズンは山あり谷ありです。そして琉球に敬意を払うべきです。琉球はリーグ屈指のタレント集団ですし、これまでも良い成績を残し続けてきた歴史があります。彼らは良いチームで、そのプレーを称えなければいけない。そこに追いつき、早く自分たちの目指すレベルにたどり着けるように努力していきます」

ロシターは、これからのチーム作りについてこう語る。「試合後、時間のかかる部分をなるべく早く積み上げていこうとロッカールームで話し合いました。我慢しながらお互いを信頼していくことが大前提です」

中心選手に多くの入れ替えがあったA東京がチームとしてまだ未完成なのは予想できたこと。開幕したばかりで目先の結果に一喜一憂すべきではない。ただ、王座奪還に向け東地区1位を勝ち取るためには、そんな状況でも勝ち星を増やしていかないといけない。焦る必要はないが、楽観できるわけでもない。チャンピオンの座に返り咲くには、チームを熟成させながら勝つことが求められる。