ウィスマンヘッドコーチ「この勝利の価値は計り知れない」
群馬クレインサンダーズは延長戦の末、宇都宮ブレックスとの開幕戦を75-69で制し、B1での初勝利を挙げた。
第3クォーターにはこの日最大となる11点のビハインドを背負った群馬だったが、我慢の時間帯をしのぐと、最終クォーター残り19秒で同点に追いつき延長戦に引き込んだ。そして、五十嵐圭のスクープショットが決まり、前半以降初めてのリードを奪うと、そのまま逆転を許さずに逃げ切った。
勝利の立役者となったのは、ゲームハイの28得点を挙げたトレイ・ジョーンズに他ならない。ジョーンズはラスト18秒に勝利を決定づける3ポイントシュートを沈め、オーバータイムでのチーム総得点9得点のうち7得点を奪った。
ジョーンズは「今日の試合はジェットコースターのようなアップダウンの激しい試合だった」と振り返り、チームの信頼がラストショットをもたらしたと語った。「チームが自分にボールを預けてくれて、その信頼が僕に自信をくれた。だから、自信を持って最後のシュートを打てたし、それが勝利に繋がったから最高の気分だよ」
昨シーズンのジョーンズは平均25.0分のプレータイムで16.2得点、5.3アシストを記録。2度の30得点オーバーがあるなど、波に乗ったら手が付けられない選手だ。それでも、それはあくまでB2での話であり、1年目に千葉ジェッツでB1の経験があるとはいえ、同じような活躍ができるかどうかは懐疑的な見方もあった。しかし、ジョーンズはB1でも屈指の堅守を誇る宇都宮を相手に得点を量産。ベストディフェンダー賞を2度受賞している遠藤祐亮をして、「正直、今まで対戦してきた外国籍のフォワードの中でずば抜けて速い」と言わしめ、自身のスコアリング能力がB1でも通用することをいきなり証明した。
ヘッドコーチのトーマス・ウィスマンは「互いにディフェンスが非常に良く、ディフェンスでの戦いだった」と振り返りつつ、「やるべきことをやり切ったこと、選手の高い遂行力が勝利に繋がった」と総括した。
ウィスマンヘッドコーチは2016-17シーズンに宇都宮(当時は栃木ブレックス)を指揮し、Bリーグ制覇を成し遂げた過去を持つ。そのため、「このブレックスアリーナで勝利することの難しさを知っている。だからこそ、この勝利の価値は計り知れない」と語った。
勝利はしたが、オフェンスリバウンドで8-15、ターンオーバーでも19-11と課題はたくさん残されている。それでも、1日の練習しかできず、ほぼぶっつけ本番で試合に臨んだオンドレイ・バルヴィンが10得点11リバウンド2ブロックと存在感を見せたことなど、チームとしての今後の伸びしろもある。初戦の勝利がフロックではないことを第2戦で証明するとともに、東地区を盛り上げることに期待したい。