ハミドゥ・ディアロ

顧客リストにはダンクコンテスト優勝者がズラリ

NBAのコアファンなら、ダンクコーチとして知られるチャック・ミランという名前を聞いたことがあるかもしれない。

『Team Flight Brothers』というチームを立ち上げたミランの下には、世界各国からハーフタイムショーに実施するダンクのアイデア相談が殺到している。『Desert News』が2018年に伝えた内容によれば、彼がNBA選手のダンク指導に携わったのは2013年からで、彼の顧客リストにはNBAオールスターサタデーのメインイベントである『スラムダンクコンテスト』優勝者がズラリと並んでいる。

テレンス・ロス(2013年優勝)
ジョン・ウォール(2014年優勝)
ザック・ラビーン(2015、16年優勝)
グレン・ロビンソン三世(2017年優勝)
ドノバン・ミッチェル(2018年優勝)
ハミドゥ・ディアロ(2019年優勝)
デリック・ジョーンズJr.(2020年優勝)

また、惜しくも優勝こそ逃したが、ラビーンと歴史に残る死闘を繰り広げたアーロン・ゴードンも指導したという。

そのミランが、2019年にシャキール・オニール超えのダンクを披露したディアロとの秘話を明かした。Instagramに投稿された動画には、ディアロがジムでコンテストに向けたダンクを練習している姿が収められている。

ミランは「ディアロの身体能力は信じられないレベルで、僕が伝えたダンクの大半をやってのけた」と、当時を振り返った。

ミランはディアロにあらゆるタイプの障害物を飛び越える練習を指示した。しかし、この練習に疑問を感じていたディアロから「チャック、どうして障害物ばかり飛び越えないといけないんだ? こんなんじゃハイスコアは得られない。負けるよ。それに君もクビになってしまう」と言われ、彼は「そうじゃない。君はシャック超えのエルボーダンクを決めるんだ。それでダンクコンテスト優勝だ」と伝えたという。

そしてコンテスト当日、ディアロは予選の2本目で『シャック超え』のエルボーダンクを披露し、50点満点を獲得して決勝に進出。この試技で会場にいる観客の心をつかんだディアロは、ラッパーのクエヴォをコートに呼び寄せ、ボールを持たせたクエヴォの後頭部のあたりに走り込み、豪快にリムに叩きつけるダンクも成功させて、デニス・スミスJr.との決勝を制した。

2021-22シーズンのオールスターゲームは、2022年の2月にクリーブランドで開催される。ダンクコンテスト出場が決まった選手たちは、きっとミランの携帯に連絡を入れるのだろう。そしてミランは度肝を抜くプランを用意し、『ダンクコンテスト優勝請負人』としての仕事を全うする。