グライナー「どこからでも3ポイントシュートを狙ってくるチーム」
バスケットボールの女子日本代表は、優勝候補筆頭のアメリカと対戦して69-86で敗れた。『世界の壁』がいかに高いかを痛感する敗戦ではあったが、第1クォーターは打ち合いの末に30-28とリードを奪い、最終クォーター序盤まで1桁点差と競った展開に持ち込んだ。トム・ホーバスの下でこれまで準備してきた機動力を前面に押し出すバスケは少なからず機能した。
2016年のリオ五輪でも両チームは対戦しているが、勝負になったのは前半まで。後半に入ってギアを上げたアメリカに突き放された。今回は、5年間のチームの向上を同じオリンピックのコートで示したと言えるだろう。
アメリカ代表の『伝説のキャプテン』であるスー・バードは「世界のバスケは変わってきています。他のチームも映像でチェックしていますが、多くのタレントが出てきて試合のレベルはどんどん上がっています」と、勝ってなお気を引き締めた。
203cmの高さを生かして日本を苦しめ、15得点を挙げたブリトニー・グライナーも「今はどの選手もシュートを打たないといけないけど、日本はまさに、どこからでも3ポイントシュートを狙ってくるチームでした」と、日本と戦う難しさを語る。
ヘッドコーチのドーン・ステイリーは、日本代表について「トムが良い仕事をしています」と、日本を率いるトム・ホーバスの手腕を称えた。
「時間をかけてチームを育て、選手に自信を付けさせて対戦するのが難しいプレースタイルを作り上げました。規律がありバランスが良く、効率的で油断できない相手です。いつも動き続ける日本のようなチームとの対戦には慣れていません。見る分には美しいですが、相手に回すと厄介です。そんな相手に勝てて今日は良かったです」
これは日本の環境が少々うらやましい、という気持ちもあったに違いない。アメリカは新しい選手が6人も加わり、チームのケミストリーを熟成する時間が取れないままオリンピック本番を迎えている。そんなチームを束ねるスー・バードは「本来は時間がかかるところを急ピッチで仕上げているところ。今大会はアメリカにとって自分たちとの戦いです」と語る。
日本代表としては、ナイジェリアとの第3戦に勝って2勝1敗で決勝トーナメントに進み、そこでメダルを懸けてアメリカと再び対戦したいところ。今日の一敗はまだ先に繋げられるもので、ここで得た課題を修正してチームをよりレベルアップさせて、この先の戦いに挑みたい。それでも、アメリカもまた大会期間中にさらにチーム力を高めてくる。願わくばもう一度、両チームがベストの状態で、メダルを懸けて激突する試合を見せてもらいたい。