比江島慎

指揮官も「すごく重要な場面でシュートを決めきってくれた」と絶賛

バスケットボール男子日本代表は、東京オリンピック前、最後の国際強化試合で世界ランキング7位のフランス代表と対戦し(日本は世界ランキング42位)、81-75で勝利した。

八村塁がゲームハイの19得点と7リバウンド2アシスト、渡邊雄太が18得点9リバウンド2アシストと流石のパフォーマンスを発揮したが、この試合では『海外組』に頼るだけでなくBリーグでプレーする選手の活躍も目立った。

中でも比江島慎は、3ポイントシュート2本を含むフィールドゴール3本すべてを成功させ、フリースローも8本中7本成功の15得点を挙げて勝利に貢献した。最終クォーターには八村のキックアウトからバスケット・カウントとなる3ポイントシュートを決めるなど、チームに勢いを与えた。

指揮官のフリオ・ラマスも「今日はチーム全員が勝利のためにそれぞれ貢献してくれました」と語った上で、「マコはすごく重要な場面でシュートを決めきってくれたり、フランスが点差を縮めてくる中で相手の流れを止めてくれたのはすごく良かったです」と比江島の活躍を称えた。

その比江島自身は、フランス戦を次のように振り返った。「僕たちの現在の力を知ることができる貴重な世界トップクラスの対戦相手に対して、自分たちがやりたいバスケットは試合を通してできたと思います。相手はあまりスカウティングをしていなかったとは思いますが、僕たちの悪い時間帯もあったので、そこはしっかり突き詰めていきたいです」

もともと比江島は自らペイントアタックして得点を挙げるプレースタイルだが、日本代表では八村や渡邊がファーストオプションとなる。それでも彼は自分の持ち味を失うことなく『海外組』と共存する術を探り、それを見いだしたようだ。チーム全員が揃って試合を行ったのは、今日のフランス戦と先日のベルギー戦のみだが、比江島は確かな手応えを得たと言う。

「どうしても塁が休まないといけない時間帯はあるので、その時は自分もよりアグレッシブに行く必要があるし、そこがしっかりできました。塁が出ている時間帯はスペーシングを空けたり、塁が攻めやすいようにズレを作ってあげたり。そういう部分もこの試合を通してやっていける自信に繋がったので、手応えはつかめています」

比江島慎

「NBAでもトップの高さを経験できて、あれ以上の高さはないと思う」

強化試合とはいえ、格上のフランスに勝利したことは大きな意味があり、選手の自信にも繋がる。フィジカルもサイズも日本より勝るフランスと試合をできたことで「NBAでもトップの高さを経験できて、あれ以上の高さはないと思うので、どこが相手であろうと臆することなく行く自信に繋がった」と語る。

それでも日本代表は2年前のワールドカップを5戦全敗で終えた苦い思い出がある。当時は世界との『フィジカルの差』を痛感させられ、代表チーム内でも海外組に頼るという課題が浮き彫りになった。

比江島は会見で何度も「ワールドカップの反省点はそれぞれ分かっている」と語り、1週間後に迫った東京オリンピックへの思いをこう語った。

「いよいよ全員が揃ってチームも徐々に出来上がってきていて、すごくモチベーション高くやれています。あとは本当にワールドカップの反省点を含めて出し切るだけだと思うので、楽しんでやっていきたいです」

東京オリンピックの予選ラウンドでは、7月26日の初戦で世界ランキング2位のスペインと対戦し、その後29日に16位のスロベニア、8月1日に4位のアルゼンチンと対戦する。オリンピック本番でも比江島らしい積極的なアタック、そして海外組との互いの力を引き出し合うチームプレーで、日本の勝利を引き寄せてほしい。