40本中20本の成功、最後まで落ちなかった3ポイントシュート
NBAファイナル第2戦は、第1戦でクリス・ポールに32得点、デビン・ブッカーに27得点を奪われ、ハンドラーを止められなかったバックスがディフェンス面での修正をして臨みました。特に対策が色濃く出てくる第1クォーターは、両チームが極端なスタッツを記録しています。
ハンドラーのアタックを止めに行くと同時に、ディアンドレ・エイトンへのロブパスも止める必要があるバックスはインサイドを塞ぐ姿勢を打ち出します。これを見たブッカーは落ち着いてキックアウトパスを通していき、サンズは26得点のうち24得点が3ポイントシュートで、固められたペイント内の得点は0点と、明確にアウトサイドからの攻略をしてきました。
逆にバックスは中途半端なところで止まってスティールされた第1戦の反省から、個人突破からパスを出すよりも、打ち切る形を増やしたことでペイント内で20得点を奪い、逆に3ポイントシュートは2本のみとビッグラインナップの強みを打ち出したインサイドアタックで、3点のリードを奪います。
しかし、この構図は第2クォーターであっさりと崩れます。控えビッグマンのダリオ・シャリッチがケガで離脱することになったサンズは、スモールラインナップを選択したことでオフェンスではスペースを広く保ち、ドライブからペイント内得点が増えていきました。ディフェンスは小さいからこそインサイドを狭く守ってサイズの差を使わせず、3ポイントシュートを打たせる選択をすると、バックスは12本中2本しか決めることができず、サンズが11点リードして試合を折り返します。
サンズの流れに逆らえないバックスにおいて、タイムアウト時にチームメートを強く鼓舞したヤニス・アデトクンポは、第3クォーターだけで20得点を奪い、強烈に追い上げる姿勢を見せます。ファウルで止める選択肢しかなかったサンズは、試合を通して18本のフリースローを打たせることになりましたが、アデトクンポは11本の成功に留まりました。このミスも響き5点差までは縮めるものの、もう一歩決め手に欠けました。
サンズは点差を縮められてもエースのブッカーが勝負強い3ポイントシュートを決め返して2桁点差に戻し、バックスの追い上げを封じ込めます。バックスはインサイドに侵入してくるプレーには強く、7ブロックとリムプロテクト能力の高さを使って止めていきましたが、スペースの広いアウトサイドではブッカーとポールのコンビを止められず、後半だけで2人に8本もの3ポイントシュートを決められました。
サンズはバックスのディフェンスに応じて前半と後半で攻め方が大きく異なりましたが、オフェンスは停滞することなく118得点を奪いました。その中でミケル・ブリッジズはブッカーに次ぐ27得点を記録しました。前半はコーナーでパスを受けての3ポイントシュート中心だったのが、後半になるとブッカーが広げたインサイドに上手くアタックしていきました。ハンドラーがディフェンスに応じてプレーチョイスを変えるのは珍しくありませんが、ボールを持っていないウイングまでがディフェンスの穴を見つけていく見事な連携を発揮しての2連勝となりました。
一方のバックスは第1戦で29得点を奪ったクリス・ミドルトンがブリッジスのディフェンスに抑え込まれて11得点に終わりました。攻守に速攻の場面でサンズの方が走っている人数が多く、ミドルトンだけでなくバックスの選手には疲労が見え、42得点と孤軍奮闘したアデトクンポに続く選手が出てきませんでした。
連敗スタートになったバックスですが、ホームに戻る第3戦まで中2日空くため、リフレッシュする時間は持てます。戦略的な対策だけではサンズを打ち破るのは難しいだけに、まずは心のリフレッシュが重要になります。逆にサンズはシャリッチに続いて、トーリ・クレッグがケガで途中退場しており、健康面での不安が残るとともに、スモールラインナップの構成を考え直す必要が出てきそうです。