シュルーダーは契約延長オファーを断り、フリーエージェントに
デニス・シュルーダーはシーズン中にレイカーズから打診された4年8400万ドルの契約延長オファーを固辞した。こうして彼は平均15.4得点、5.8リバウンドを記録した1シーズンだけでレイカーズを去ろうとしている。フリーエージェント市場に『超大物』がいない今オフであれば、4年1億ドルの契約を得ることも可能だと彼は考えており、それと同時にレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの引き立て役ではなく、エースとしてプレーすることを望んでいる。
特にプレーオフでのプレーを見れば、彼が『エースの役割』を果たそうと考えるのも理解はできる。そして、結局はレブロンとデイビスのデュオが軸となるレイカーズにおいて、自分でボールを持つことでリズムを作りたいシュルーダーがフィットしづらいのも分かった。だからこそ彼は、オリンピック出場を目指すドイツ代表への合流を見送り、万全を期している。
そしてレイカーズは今、61試合に先発出場したシュルーダーに代わるポイントガードを必要としている。求められる人材はレブロンの負担を軽減できるセカンダリープレーメーカー、セカンドユニットのオフェンス力を底上げできるスコアラーだ。
その中で本命と見られるのはデリック・ローズだ。ニックスで復活を遂げたローズは、チームを躍進に導いた若手たちがプレッシャーに押し潰されたプレーオフで本領を発揮できた唯一の選手だ。レイカーズでの役割はニックスと同じくシックスマンになる。ディフェンスを前面に押し出して相手のポイントガードを抑えるアレックス・カルーソが先発し、レブロンを休ませるタイミングでオフェンスの舵取りをローズが担う。ドライブからの得点もできるし、レブロンのために用意されたシューター陣を生かすキックアウトもある。2019-20シーズンの優勝に大きな貢献を果たしたラジョン・ロンドのような働きが、ローズには期待できる。
それに続くのがスペンサー・ディンウィディーだ。右膝前十字靭帯部分断裂で今シーズンは3試合にしか出場していないが、ネッツがNBAファイナルまで勝ち進めば間に合うと、本人は回復をアピールしていた。彼であれば起用法はローズとは異なる。カイリー・アービングと2人一緒にスタートで出て機能したことで、セカンダリープレーメーカーの能力は証明済み。レブロンにストレスを与えることなく、その負担を軽減できる。「来シーズンには100%以上の状態で戻る」とコメントしている彼自身、ケガでほぼ1シーズンを棒に振った後、レイカーズで自分の力を試すチャレンジには前向きなはずだ。
レイカーズファンが最も気にするのは、ロンゾ・ボール復帰という選択肢だろう。2017年のドラフト全体2位でレイカーズに指名されたロンゾは、2シーズンに渡りメインのポイントガードとして起用されたが結果を残せなかった。2年目の2018-19シーズンにはレブロンを擁してもプレーオフ進出を逃し、アンソニー・デイビス獲得のためのトレード要員としてペリカンズに送られている。レイカーズのファンからすれば、その将来性を楽しみにしつつも期待に応えられなかったロンゾは、ペリカンズでの2シーズンで大きく成長した。ミドルレンジから3ポイントシュートの確率は大きく向上し、もはや弱点と呼べるものではなくなっている。さらには父親のラバー・ボールと距離を置き、雑音に惑わされることなくプレーできるようになったことも、レイカーズファンにとっては目新しいメリットとなる。
レイカーズはレブロンとデイビスが中心だが、彼らの持ち味を上手く引き出し、2人に依存しないプレーの多様さをもたらすポイントガードの存在は、王座奪還に不可欠だ。サラリーキャップとの兼ね合いもあり、選択肢が多いわけではないが、ここでの選択が来シーズンのレイカーズの戦いぶりに大きく影響するのは間違いない。