サイズのミスマッチを突かれ、インサイドを押し込まれ失点が止まらず
イランを迎えた国際強化試合の第2戦。日本は田中大貴、比江島慎、張本天傑、ギャビン・エドワーズ、シェーファー・アヴィ幸樹の5人が先発した。
来日して2試合目ということで、イランは第1戦より足がよく動くようになっていた。第1戦では日本のスピードに振り回されたが、走り負けないようになるとフィジカルの強さ、体格の差が攻守に出るようになる。インサイドを力押しで攻めつつ、そこに飛び込む選手に合わせるなど巧みなアシストも光ったイランが快調に得点を重ねる一方で、日本は生命線のファストブレイクも3ポイントシュートも決まらず、第2クォーター半ばで16-29と大量リードを許した。
その悪い流れを断ち切ったのはエドワーズだった。速い展開から多少強引にでもシュートに持ち込む積極性を見せ、富樫勇樹が、田中がその動きに合わせてパスを送ることでオフェンスが動き始める。張本が自分より大きな相手にアタックして思い切り良く放つシュートをねじ込み、第2クォーターの最後には残り時間を把握しつつ相手ディフェンスを見極め、5人が連動して動いてズレを作り出し、田中、シェーファーと繋いで安藤周人のイージーレイアップに持ち込み、30-33と1ポゼッション差まで詰めて前半を終えた。
後半スタートのラインナップは、前半にプレータイムのなかったベンドラメ礼生と渡邉飛勇、そして田中、張本、ライアン・ロシター。ディフェンスの強度が上がり、相手の攻めは止めるものの、このラインナップでは得点が伸びない。逆にイランは前から当たる日本の守備にすぐ順応し、サイズのミスマッチからズレを作り出して日本のプレッシャーディフェンスを攻略した。
それでも日本も食らい付く。チャンスが作れない状況で田中が難しいミドルジャンパーを沈めて得点を繋ぎ、ベンドラメがフリースロー、そして日本にとってこの試合初の3ポイントシュート、相手のプレスの裏を突くアタックからのレイアップと連続得点で1点差に。ベンドラメはさらにピック&ロールからノールックでエドワーズに合わせのパスを送り、相手のファウルを誘う。このフリースローで日本は同点に追い付いた。
ベンドラメ礼生や渡邉飛勇のアグレッシブなプレーは収穫
48-50で迎えた第4クォーターは一進一退の攻防に。日本は第3クォーター途中まで決まらなかった3ポイントシュートが決まり始め、安藤、シェーファー、安藤と立て続けに長距離砲を決めて逆転に成功した。しかしディフェンスに回るとイランのインサイドアタックを止められない。パワフルなドライブ単発であれば止められても、そこに次の選手が飛び込みパスを合わせるプレーで失点が続いた。安藤の得点で逆転した後にインサイドを4度破られて、再逆転されただけでなく突き放された。結局、日本はほとんどの時間帯で相手にリードを許し、最終スコア67-72で敗れている。
リバウンド(32-35)、アシスト(17-21)、ターンオーバー(16-18)やスティール(10-12)といった数字はほぼ互角だったが、ターンオーバーからの得点がイランの25に対し日本は15と、ここで差が付いた。
エドワーズは第1戦に続きチームトップの18得点を奪った。本職ではないポイントガードを任されている田中大貴はゲームメークで及第点以上のプレーを見せた上で12得点を記録。先発に抜擢された張本、またプレータイムは短いがベンドラメと渡邉の好守にアグレッシブなプレーが目立った。
日本代表ヘッドコーチのフリオ・ラマスは「点差はそこまでなかったが常にリードを取られていた。アグレッシブな守備に対して我々はかなりの数のターンオーバーをして、理想のオフェンスでできなかった。勝利に値する内容をしたのはイランだった」と敗戦を受け入れるとともに、「今の段階ではオリンピックに向けてのオフェンスのシステム、ディフェンスのシステムの作り上げの段階」と語る。勝敗よりも、今日の内容からチームをどう向上させていくかが大事。だからこそ日曜の第3戦では攻守に過去2試合を上回るパフォーマンスを期待したい。