トレイ・ヤング

シモンズ「僕たちは余裕を持ちすぎた」

プレーオフ東カンファレンスセミファイナル、2勝2敗で迎えたセブンティシクサーズvsホークスの第5戦で、ホークスが壮絶な逆転劇を見せた。

第1シードのシクサーズは第4戦で不甲斐ない逆転負けを喫し、さらにはジュリアス・アービングとアレン・アイバーソンのレジェンド2人が見守る御前試合とあって、序盤からホークスを圧倒した。インサイドを支配したジョエル・エンビードが24得点、3本の3ポイントシュートを成功させたセス・カリーが11得点を挙げ、前半を終えて62-40と大量リードを奪った。

最終クォーターを迎えた時点でもシクサーズの18点リードと試合の趨勢は決まっていたかに見えた。しかし、ホークスはルー・ウィリアムズを中心にセカンドユニットを攻め立て反撃を開始。7-0のランで先発陣をベンチから引きずり出した後もホークスの勢いは止まらない。ウィリアムズは身体が流れながらのミドルシュートを次々と沈め、11連続得点を挙げる。ジョン・コリンズのタフな3ポイントシュートが決まり、点差を1桁に戻した。

さらにホークスはフリースローが苦手なベン・シモンズに仕掛けた『ハック作戦』も成功する。シモンズはこの試合で14本のフリースローを放ったがそのうち10本を外した。

こうして、流れがホークスに傾いた状況でトレイ・ヤングが本領を発揮。序盤にウィリアムズがオフェンスの中心を担ったことで負担が減ったヤングは、ここからフローターにレイアップとエンジン全開。残り1分26秒の場面では、マティース・サイブルから3ポイントシュートのファウルをうまく誘発し、このフリースローを3本すべて成功させて105-104と逆転した。

ダニーロ・ガリナーリにミドルシュートを決められ3点ビハインドとなったシクサーズは、残り10.9秒にエンビードがフリースローを獲得する。ここまで11本すべてのフリースローを成功させてきたエンビードだったが、この大事な場面で2投とも失敗し万事休す。ファウルゲームを乗り切ったホークスが最大26点のビハインドを覆し、109-106で勝利した。

19本中17本のフリースローを沈めゲームハイの39得点を挙げたヤングは「スコアがどうであれ、僕らは戦い続ける。このチームを誇りに思うし、僕らはみんな自信を持っている」と逆転勝利したチームを誇った。

第4クォーターに13得点を固めたウィリアムズは自身のパフォーマンスに胸を張りつつ、独特な言い回しでヤングを称えた。「彼が殿堂入りしてこのリーグでスーパースターとしての評価を確立した時、自分はそのプロセスの一部であり、この紳士と一緒に仕事をしたと振り返るだろうね」

シクサーズはエンビードが37得点を挙げ、カリーが36得点を挙げたが、他に2桁得点を挙げた選手は1人もおらず極端に得点が偏った。さらには、後半にフィールドゴールを成功させたのは2人だけだった。ハック戦術の標的となり、8得点に留まったシモンズは「僕たちは余裕を持ちすぎた。本来するべきプレーができなかった」と、前半の大量リードのせいでリズムが狂ったことを敗因に挙げた。

敵地で歴史的な逆転勝利を収めたホークスは戦績を3勝2敗とした。ホームに戻る第6戦でこの勢いを維持できれば、2015年以来となるカンファレンスファイナル進出の可能性は高い。