リードチェンジを繰り返す名勝負は延長へ
千葉ジェッツvsアルバルク東京の第2戦は延長戦にもつれる接戦となったが、最後まで強気なプレーを貫いた千葉がオーバータイムだけで10本のフリースローを獲得し、そのフリースローが決勝点となって111-109で勝利した。
最初に主導権を握ったのはA東京だった。田中大貴のクリエイトが冴え、ディフェンスを引きつけては外に展開し、味方の3ポイントシュートを次々と演出した。田中は自らも3ポイントシュートを沈め、菊地祥平の速攻も飛び出し、開始5分半で18-6とリードした。千葉は富樫勇樹が3ポイントシュートを決めるも、セバスチャン・サイズのスクリーンがムービングと判定されてノーカウントになるなど波に乗れない。それでも、田中がベンチに下がっている時間帯に千葉はフロースローで繋ぎ、17-25と点差を縮めた。
第2クォーターに入ると、藤永佳昭がディフェンスのトーンを整え、さらにインサイドにボールを集めることで千葉が盛り返す。インサイドでアドバンテージのあるサイズを強調し、サイズはこの期待に応えて13得点を荒稼ぎ。オフィシャルタイムアウト明けに決めたゴール下でついに逆転した。このまま一気に千葉のペースになるかと思われたが、小酒部泰暉とデション・トーマスの個人技で踏み止どまり、46-46の同点で前半を終えた。
後半はリードチェンジを繰り返す打ち合いとなったが、トランジションが機能したことでイージーシュートの機会が多かったA東京が主導権を握った。それでも、最終クォーターではシャノン・ショーターやジョシュ・ダンカンのパワープレーなど強気なアタックで千葉が盛り返し、残り5分27秒にはコー・フリッピンのフリースローで逆転した。
その後、再び逆転を許した千葉は残り23秒で2点ビハインドと追い込まれた。富樫の逆転を狙った3ポイントシュートが外れて、リバウンド争いから残り1.9秒でエンドからのリスタートという状況に。そして、富樫がエドワーズにパスを通し、ゴール下を決めて延長戦に持ち込んだ。
15分間で10オフェンスリバウンド「勝ちたいメンタリティがそこに出た」
オーバータイムに入っても一進一退の攻防が続いたが、千葉は残り2分54秒に富樫が、直後にサイズがファウルアウトに。それでも、攻め気を失わずにアタックし続けることでフリースローでスコアしていった。そして、残り3秒、ショーターがジョーンズからファウルを誘発し、このフロースローを2本とも沈めて熱戦に終止符を打った。
千葉の大野篤史ヘッドコーチは「たくさんの課題があった」としながらも、このように総括した。「ホームでチャンピオンシップができるかどうかを決められるところにいることを選手たちが理解して、絶対に勝つんだという気持ちを持って戦えたことが一番です。第3クォーターまではオフェンスリバウンドが5つしか取れていなかったですが、第4クォーターとオーバータイムで10本、勝ちたいメンタリティがそこに出たと思います」
A東京は第1戦に敗れた時点でチャンピオンシップ進出の可能性がなくなり、ケガ明けの田中のプレータイムが限定されながらも、最後まで千葉を追い詰めた。結果には繋がらなかったが王者の意地を垣間見せ、水野宏太ヘッドコーチ代行もこのように選手たちを称賛した。
「彼らが見せたプライド、そしてパフォーマンスを誇りに思っています。千葉さんはホームコートでチャンピオンシップを開催するための負けられない戦い。そういう相手に対して、食い下がりオーバータイムまで行ったというのは、チームとしての気持ち、選手一人ひとりの意思とプライドを出せたと思っています」
両ヘッドコーチがそう語ったように、負けられない気持ちと王者のプライドがぶつかり合った名勝負だった。