レオ・ライオンズのクラッチシュートで決着
上質な室内エンターテイメントの提供を第一に作られ、プロバスケットボールの未来を示す指針として大きな注目を集める琉球ゴールデンキングスの新本拠地、沖縄アリーナで初となるリーグ公式戦が4月21日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを相手に行われた。試合は、チャンピオンシップ出場へ崖っぷちの名古屋Dが87-85で死闘を制している。
試合は第1クォーターから点の取り合いとなったが、今村佳太がハーフコート付近からブザービーターを沈め琉球が27-23と先手を取る。しかし、第2クォターに入ると、名古屋Dはインサイドへの積極的なアタックからバランス良く得点を重ねて応戦する。
後半に入っても互角の展開が続くが、名古屋Dはドウェイン・エバンスの故障欠場もあり、琉球が攻撃の起点として依存度を強めるジャック・クーリーへのパスを連続カット。そこから得点へ繋ぐことで、第4クォーター残り6分半に73-67と流れを引き寄せる。
だが、ここから琉球はこのクォーターで8得点を挙げた並里成の活躍で追い上げる。残り6秒、岸本隆一の3ポイントシュートで琉球が追い付くも、名古屋Dは直後のラストオフェンス、本日ゲームハイの25得点を挙げたレオ・ライオンズにボールを預ける。
ライオンズは滋賀レイクスターズと対戦した前節、3点差で敗れた17日の試合で最後、オープンで入れば同点となるシュートを外していた。だが、今回は「彼にやり返すチャンスを与えたかった。今日は調子が良かったので託しました」と明かす梶山信吾ヘッドコーチの信頼に応え、残り1秒で外角シュートを沈め熱戦に終止符を打った。
チャンピオンシップへの望みを繋ぐ大きな勝利に梶山ヘッドコーチは語る。「こんな素晴らしいアリーナで試合ができて本当にうれしく思います。もちろん勝ちを狙っていく中で、こういう機会は滅多にないので楽しもうと言いました」
そして、相手の大黒柱ジャック・クーリーを第4クォーターで2点に抑えるなど、要所での守備で踏ん張れたことが大きかった。「選手たちが本当に頑張ってくれました。タフショットを決められたりしましたが終始、我慢を続けてディフェンスの強度が落ちなかったことが勝因だと思います」
並里成「僕の小さい頃からの夢がかないました」
一方、沖縄アリーナで初の公式戦を惜しくも落とした琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは、まずはこの記念すべき一戦を迎えられたことへの感謝を口にする。
「まずは沖縄アリーナでBリーグの公式戦を開催できた事を心からうれしく思います。そして琉球ゴールデンキングスの創設からここまで歴史を積み上げてきた多くの方々、球団職員、ステークホルダーの皆さんの努力があって今日を迎えられました。その人たちへの感謝の気持ちを持って試合に臨みました」
もちろん試合に負けたことへの悔しさはあるが、西地区優勝を決めている中、指揮官はチャンピオンシップに向けて、次の部分にフォーカスしたいと続ける。
「ディフェンスからハードワークをする。この僕たちのやりたいバスケットを追求すると同時にコンディショニングにも気をつける。少し矛盾していますが、出ている時間帯はとにかく全力でハードワークをすることを統一し、ディフェンスのクォリティを上げていきたいです」
そして、沖縄アリーナの地元、沖縄市出身の並里成は「勝ち負けはありますが、本当にこの日を楽しみにやってきて、僕の小さい頃からの夢である地元の大きな舞台でプレーすることがかないました」と、ついに実現した夢のアリーナでプレーできた喜びを語る。
レギュラーシーズンの残り試合では、藤田ヘッドコーチと同じくハードワークの質を高めることを重視していく決意だ。「一人ひとりがどれだけスタッツに出ない泥臭いプレーができるかが大事になってくる。そこをみんなと共有していきたいです」
琉球にとって、この日はチームの歴史において大きな一歩となった。この新時代の門出をより華やかなものとするには、チャンピオンシップを勝ち進むことが欠かせない。そのためには、ここから新アリーナへの適応も含め、残り試合をどれだけ実りあるものとできるかにかかっている。
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