ブランクを感じさせないパフォーマンスを披露
千葉ジェッツは4選手とチームスタッフ1名が新型コロナウイルス陽性判定を受けたことで、レギュラーシーズンの試合中止が相次いだ。そして4月14日、約3週間ぶりにコートに帰ってきた。千葉が最後に試合を行ったのは3月24日の新潟アルビレックスBB戦。その後、活動停止を経て、4月10日に練習を再開した。10日の練習では恐怖感から対人練習ができず、実質3日間で準備を整えたという。
対戦相手はワイルドカード下位でチャンピオンシップ出場圏内にいる強豪のサンロッカーズ渋谷。「シーズン中にこれだけ試合が空くことはあまりないですし、チームとして準備する期間もそんなになく、難しい試合になると思っていました」と、富樫勇樹が語ったように、千葉は劣勢を強いられた。
序盤はボールが手につかない場面も見受けられ、連携がスムーズにいかずにターンオーバーから失点を喫した。これには大野篤史ヘッドコーチも「第1クォーターは大丈夫かなと思うくらいゲーム勘もなかった」と試合後の会見で明かした。
千葉は早々に2桁のリードを許したが、富樫がピックからの3ポイントシュートを連続で沈めるなど個人技で打開し、どうにか8点ビハインドで前半を折り返した。後半に入ると、リズムをつかんだ富樫を起点に逆転。その後、リードチェンジを繰り返す接戦が最後まで続いたが、ゲームハイの37得点を許したライアン・ケリーの勝負強さの前に85-91で敗れた。
それぞれがブランクを抱え、チーム練習も足りていない状況を鑑みれば、SR渋谷に6点差の敗戦という結果は決して悲観するものではないだろう。富樫も「勝ちたかったですけど、なかなかうまくいかなかった」と結果への落胆は見せたが「決して悪い試合ではなかった」と内容に関しては前向きだった。
実際、富樫は24分の出場で3本の3ポイントシュート成功を含む15得点8アシストを記録する好パフォーマンスを披露。「試合が空いたわりには、個人としてはできた」と、自身の出来についてもある程度の感触を得ているようだ。
「試合が空いたことによって全員に危機感があります」
ここから千葉は代替試合も含めたタフな日程を戦っていくが、富樫はこうした状況をネガティブにとらえていない。それはチームの連携を高めていくには実戦を積むことが一番の近道だと考えているからだ。「2日に1回くらいのペースで試合をしていくことになり、スケジュール的には大変ですけど、練習がほとんどできないという意味では試合数があったほうがいいです」
もちろん、練習ができずに試合が中止となったことはマイナスに作用することのほうが多い。だが、同時にチームの士気を高めるという側面も持ち合わせている。富樫は言う。
「気が緩んでいたわけではないですけど、以前はフワっとした雰囲気で試合に入ることも多かったです。順位もそうですし、試合が空いたことによって全員に危機感があります。なんとしてもホーム開催を勝ち取らなきゃいけないですし、挑戦者ではないんですけど、そういう気持ちはあります」
再スタートを切った千葉だが、最高の結果とはならなかった。それでも、強豪を相手に接戦を演じ、新たな気持ちで終盤戦に臨めることは今後に繋がるに違いない。「チームとして、同じ方向を向くことが大切」と富樫が言うように、チームの結束力を強めていけば、悲願達成の道筋が見えてくる。
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