ナジ・マーシャル

指揮官はザイオンよりイングラムより「今夜のMVPはナジ」と断言

「スタッツではザイオンやブランドンが上だが、私に言わせれば今夜のMVPはナジだよ」

キャバリアーズに大苦戦しながら最後に振り切って116-109の勝利を収めた試合の後、ペリカンズを率いるスタン・ヴァン・ガンディはそう話した。そのナジ・マーシャルは2ウェイ契約で加入したルーキーで、1月中旬のデビューから3月まで出場した7試合は勝敗に関係ない局面で数分プレーするだけ。合計23分の出場で3得点と、チーム内での存在感はほとんどなかった。

しかし、ロンゾ・ボールのケガからの回復が思うように進まず、控えのニキール・アレクサンダー・ウォーカーも戦線離脱となり、今月に入ってナジにチャンスが巡ってきた。4月2日のホークス戦が初先発で、30分のプレータイムを得て9得点。続くロケッツ戦ではロンゾが復帰したためベンチスタートとなったが、それでも24分の出場で12得点5アシストと期待を上回るパフォーマンスを見せた。

このキャブズ戦が2試合目の先発出場。体格に恵まれているわけではないが、疲弊のない23歳の彼は瞬発力と跳躍力で大いに目立っている。開始1分で相手のレイアップを叩き落し、そのままリバウンドを拾うとコースト・トゥ・コーストの得点を決めた。彼の主たる任務はディフェンスだが「ディフェンスでは相手のベストプレーヤーを止めるつもりでいるし、リバウンドでも得点でもすべての機会で自分にできるベストを尽くしたい」と語る。

シュート力は期待されていなかったが、キャブズ戦では2本の3ポイントシュート成功を含む15得点を記録。3月までの7試合はコートに立ってもボールが回ってこなかったが、今はどの選手もナジを認め、彼にもボールをシェアする。エナジーでキャブズに上回られて苦戦する中、ナジが一人でハッスルして持ちこたえ、逆転への道筋を作った感さえある。スタッツでは38得点のザイオン・ウイリアムソンと27得点のブランドン・イングラムが目立つが、勝敗に最も関与する働きを見せたのはナジだ。

「試合を重ねるごとに快適にプレーできていると感じる。コートに立った時はいつでも、オフェンスでもディフェンスでも思い切ってやるだけ。チームのみんながサポートしてくれるおかげだ」とナジは言う。

2ウェイ契約を結んだものの出番は訪れず、新型コロナウイルスの影響でGリーグも短縮開催となり、ただ待つことを余儀なくされていたナジだが「できる限りのトレーニングはやって、いつ呼ばれても良いように準備だけはしていた」と言う。「それほど期待できる状況じゃなかったからこそ、呼んでもらえてうれしいし、このチャンスをできる限り生かしたい。プレーオフ進出を目指すチームに貢献できるよう、毎日ガッツを出してやっていくよ」

会見での質疑応答の間、ナジはずっとバスケットボールを抱えていた。「ロッカールームに戻ったら、みんながくれたんだ。すごくありがたいし、明日の試合ではもっと活躍しなきゃいけないと思ったよ」

過密日程が続くシーズンも終盤を迎え、どの選手も慢性疲労を抱えながら戦い続けている。その中で心身ともにフレッシュなナジのひたむきなプレーは、ペリカンズにとって最高の刺激となっている。その活躍がどこまで続くか、注目したい。