ドノバン・ミッチェル

代替の飛行機に乗ることができず、グリズリーズ戦を欠場

現地3月31日、ジャズは敵地でのグリズリーズ戦に111-107で勝利した。ただ、この前日には『事件』が起きていた。メンフィスへ向かうチームのプライベートジェットがソルトレイクシティの空港を離陸した直後に、バードストライクが発生。これは鳥がエンジンに巻き込まれる現象で、エンジンからは炎が上がり、飛行機はソルトレイクシティへと引き返して緊急着陸することに。ケガ人は出なかったが、大事故になってもおかしくない出来事だった。

すぐに代替の飛行機が用意されて、選手やスタッフはあらためてメンフィスへと飛び立ったのだが、エースのドノバン・ミッチェルはここに加わらなかった。「もともと飛行機は苦手なんだ。でも、本当に怖い思いをした」と彼は説明する。

「爆発音が聞こえて、機体が大きく揺れた。何が起きたか分からず、ただただ祈ったよ。母と父、妹に『もしかすると』、そして『愛している』というメールを送った。これが最後の言葉になるかもしれないと感じたんだ」

それでもエンジン一基を失っても飛行機がコントロールを失うことはなく、空港へと引き返した。2度目の出発に加わらなかったことをミッチェルはこう説明する。

「精神的に休養が必要だった。試合のためにまた飛行機に乗ることはできない、と感じた。チームメートやコーチが僕の気持ちを尊重して、支えてくれたことに感謝したい」

ここからブルズ、マジックとの2試合はホームゲームだから落ち着いてプレーすることができる。しかしその後はダラス、フェニックスへの遠征が続く。エースのミッチェルにとって今回の事故がトラウマになれば、ジャズにとっては一大事だ。それでもミッチェルは「僕にはやるべきことがあって、それが仕事だと理解しているよ」と言う。

「少し時間をもらって、精神的に落ち着くことができた。(ダラスに移動する)日曜日には元気になっていると思うよ。ジョン・マッデンみたいにどこへでも移動できたらいいんだけど、そうもいかないからね。大丈夫さ」

ジョン・マッデンはアメフトの名コーチであり、名解説者。飛行機恐怖症で、全米をバスで移動しながら試合解説を務めていた。しかし、ミッチェルが「マッデンみたいに」陸路で移動することは現実的ではない。彼はフライトへのトラウマを乗り越える必要がある。