ジュリアス・ランドル

納得いかないジャッジへの怒りが、次の対戦への燃料に

ニックスvsネッツは後味の悪い幕切れとなった。大量ビハインドから第4クォーターに猛反撃したニックスは、残り10秒でジュリアス・ランドルのダンクで112-115と1ポゼッション差し、続くネッツの攻めではジョー・ハリスを素早く囲い込む。一度はファウルコールがなされたが、コーチズチャレンジにより取り消されてジャンプボールに。残り5.7秒でニックスは最後のチャンスを得た。

問題はここからだ。リスタートからボールを受けたランドルが3ポイントシュートを狙ったのに対し、カイリー・アービングがシュートチェックに行く。空中でシュートモーションに入ったランドルが持つボールをカイリーは叩いた。ブロックされたと判断したランドルは、空中でボールを持ち直してワンドリブルを入れた後に3ポイントシュートを打とうとしたのだが、このワンドリブルの時点でトラベリングがコールされた。

試合後に出されたレポートでは「カイリーの手はボールに触れたが、ランドルのボール保持が緩んだわけではなく、トラベリングの判定は正しかった」とされている。だが、ランドルは納得せずに審判に詰め寄った。残り3.2秒からのファウルゲームではジェームズ・ハーデンがフリースローを2本決め、117-112でネッツが勝利。試合が終わった直後、再び激昂して審判のところに向かおうとするランドルは、チームメートに制止されてロッカールームへと引き上げていった。椅子をなぎ倒していった様子からしても、強い怒りの感情があったのは明らかだ。

試合後の会見でランドルは「この件についてはコメントしないのが一番良いと思う」と、判定への言及を避けた。「ただただ悔しいよ。僕たちはカムバックして、勝つために全力を尽くしていた。でも、もう切り替えたい。起きたことは変えられないし、もう過去のこと。明日も試合があるのだから、そちらに集中しなきゃいけない」

ニックスとネッツは同じニューヨークを本拠地とするライバルだ。今回はネッツのホームアリーナ、バークレイズ・センターでの試合で、ファンの人数も制限されていたにもかかわらず、スタンドではファン同士のライバル意識が見て取れた。ニックスが猛追する終盤には、ニックスファンの声援の方が目立った。その雰囲気がランドルの意識にも影響したのだろう。

ニュージャージー出身のアービングは「ライバル意識はプレーしていれば自然と感じるものだ」と言う。「でも、僕は地元出身だから少し違う感情がある。僕の家族にはニックスファンもネッツファンもいるからね。ライバルとして尊敬の念を抱いている。今シーズンのニックスは素晴らしいプレーをしているし、彼らとの次の対戦も楽しみたい」

勝った側のカイリーはそう言えるが、ニックスの選手たちはリベンジの意欲を燃やしているだろう。両者の対戦はニックスのホームゲームが残っているが、ニックスはより強い気持ちで立ち向かってくるはずだ。そして今シーズンの調子からすれば、ニックスがネッツにプレーオフで挑戦する展開も十分にあり得る。今回の騒動はライバル対決の今後をより盛り上げる燃料となるに違いない。