逆転を許さず、1ポゼッション差での逃げ切り
Wリーグのプレーオフセミファイナル、ENEOSサンフラワーズvsデンソーアイリス第2戦。初戦と同様に、最後まで勝負がどちらに転ぶか分からない接戦となったが、速攻が効果的に決まり、勝負どころのシュート力で上回ったENEOSが69-67で勝利した。
先行したのはデンソーだった。第1クォーターだけで3本の3ポイントシュートを沈めた本川紗奈生を筆頭に、前が空けば積極的に放つ3ポイントシュートが高確率で決まり23-19とリードした。しかし、第2クォーターに入ると、3ポイントシュートは6本打って決まらずと確率が収束。また、髙田真希がゴール下のイージーシュートをミスし、フリースローを2本連続で外してしまうなど、突き放す絶好のチャンスを逃したのも痛手となった。
こうした相手の隙を逃さないENEOSは宮崎早織や岡本彩也花がボールをプッシュし、フロントコートにボールを早く運ぶテンポの速いバスケで反撃。素早いパス回しからフリーを作り、宮崎が第2クォーター終了のブザーと同時に3ポイントシュートを沈めて、37-35とリードした。
後半の出だし、岡本の3ポイントシュート、林咲希の速攻とENEOSが突き放しにかかる。しかし、ファウルトラブルによってベンチで過ごす時間が長かった赤穂さくらが、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントなどインサイドで存在感を発揮。赤穂ひまわりもリバウンドで奮闘し、ペイントエリアで得点するなど赤穂姉妹の活躍でデンソーも食い下がった。
それでも、ENEOSは第2クォーターに続いて林が3ポイントシュートで締めるなど勝負どころの決定力が高く、リードを保ったまま最終クォーターを迎えた。
互いにディフェンスの強度が高く、攻めあぐねる時間が続く。高さで優位に立つデンソーはオフェンスリバウンドを多く獲得するも、粘り強いENEOSディフェンスの前にセカンドチャンスポイントに繋げられない。さらにアウトナンバーを作るも、シュートセレクションが悪くチャンスを生かせずにENEOSの背中をとらえられなかった。残り6.7秒、2点ビハインドのデンソーは髙田のポストプレーで同点を狙いにいったが、このレイアップが外れて67-69で敗れた。
髙田「あれを入れていればというところで、申し訳ないです」
あと一歩のところで勝利を逃したデンソーの指揮官マリーナ・マルコヴィッチは「ゴールに近いところにボールを運ぶことを目指し、それはできましたがレイアップを決められなかった。次の機会には必ず決めてくれると思っています」と、ラストプレーを振り返った。
そして、ラストショットを決めきれなかった髙田は「この2試合、チームを勝たせることができなくて申し訳ない気持ちでいっぱいです」と悔やんだ。「自分が決める気持ちを持っていましたし、決められた形でした。昨日とは逆の立場で、自分たちが決めていれば勝てました。2つとも自分がかかわっていて、あれを入れていればというところで申し訳ないです」
勝利したENEOSの梅嵜英毅ヘッドコーチは2試合とも接戦となった上でのファイナル進出に「ホッとしている」と安堵の表情を浮かべた。それでも、34-42と下回ったリバウンドが課題だと語る。「2日間で計3点差の勝ち。皇后杯から比較するとデンソーさんのディフェンスがアップしていて苦戦しました。最後は頑張ってくれましたが、相手にリバウンドを取られ、セカンドチャンスを決められ、あらためて高さのアドバンテージを失ったなと。もう1回、ボックスアウトからのリバウンドを徹底しないといけない」
前日に32得点を許した髙田を15得点に抑えつつ、12得点8リバウンドとペイント付近で存在感を放った中村優花は「相手の気持ちが来ている中、どれだけ耐え切れるかが大事だった」と我慢の勝利を強調。さらにトヨタ自動車とのファイナルに向け「プレッシャーもありますが、バスケットを楽しんでやりたい。自分たちのバスケットで希望と感動と勇気と愛を広げていけたらと思います」と意気込んだ。