「正しいプレーを見つけ出してみんなにシュートを打たせる」
ケビン・デュラントが左足のハムストリングを痛めて8試合欠場している間、ネッツは7勝と結果を出し続けている。デュラントが不在ならカイリー・アービングとジェームズ・ハーデンがステップアップする。これもまた「BIG3は機能している」の一つの形だ。
ハーデンは30得点14リバウンド15アシスト、アービングは27得点6リバウンド7アシストを記録。延長までもつれた試合を制することができた要因は、2人がオフェンスで違いを生み出したことであり、2人とも40分以上プレーしながらターンオーバーがゼロと、接戦の中でもオフェンスに関しては盤石の安定感を見せたことが大きい。
第4クォーター残り2分で108-98とネッツが10点リード。しかし、辛抱強いディフェンスでハイスコアの展開に持ち込ませなかったスパーズはここから攻守のギアを上げ、デマー・デローザンを中心に猛反撃を展開する。2点差に迫った残り40秒から、最初はハーデンが、そこで攻め切れなければアービングが仕掛けるネッツの攻めに対し、スパーズはチーム一丸のディフェンスで抵抗する。最後はアービングが抜け出してゴール下でフリーのシュートを放ったが、そこに持ち込むまでに足を使いすぎたのか、イージーなシュートを落としてしまった。
これで残り6秒からスパーズの速攻に。一度は潰されたかに見えたデジャンテ・マレーが強引に放ったシュートがリングに収まり、スパーズが10点差を追い付いて延長に持ち込んだ。
完全にスパーズの展開であり、ネッツは負けていたら終盤のディフェンスの脆さを散々に叩かれていただろう。だが、ネッツは常識では語れない。延長に入ってアービングとハーデンがあっさり連続得点を挙げると、アービングがドリブルでペイントエリアをかき回し、ブルース・ブラウンの3ポイントシュートをアシスト。嫌な流れを断ち切り、そのままオーバータイムの5分を16-5と圧倒して124-113で勝利した。
「僕は今、自分がどうゲームにインパクトを与えられるかをあらためて探っているところだ。特に得点以外の面でね」と、15アシスト0ターンオーバーのハーデンは言う。「点を取れる選手が多いから、チャンスをどう配分してイージーな得点を作るかが自分の仕事だと思っている。僕の思うようにプレーさせるのではなく、正しいプレーを見つけ出してみんなにシュートを打たせるんだ。ここでは毎試合そういう気持ちで臨んでいる」
スパーズはルディ・ゲイやデリック・ホワイトなど4選手が健康安全プロトコルで、ケルドン・ジョンソンもコンディション不良で欠場する状況で、延長までを戦う力がなかった。スパーズを率いるグレッグ・ポポビッチは第4クォーター最後の猛攻を見せた選手たちを「最後まであきらめず、食らい付いたら離さなかった。1年かけて築いてきたのは、この姿勢なんだ」と称えている。
同じく、ネッツの指揮官スティーブ・ナッシュも、選手たちの戦うメンタリティを称えた。「反撃されて慌ててしまい、決めれば勝っていたシュートを落とす。『今日は僕たちのゲームじゃない』と思ってもおかしくない展開だったが、そうはならなかった。延長が始まった時には自信を取り戻していた」
ネッツがレギュラーシーズンに敵地でスパーズと戦って勝利したのは2002年1月以来、実に19年ぶり。サンアントニオでの連敗を17で止めた。