29得点と11アシストはいずれもシーズンハイの数字
今シーズン開幕直前にウィザーズからロケッツへと移籍したジョン・ウォールが、キャピタル・ワン・アリーナに帰って来た。突然のトレード要求を突き付けてチームを去った経緯についてウォールは「それはもう語ったから、気持ちを切り替えて過去は過去のものとしたい」と多くを語ろうとはしなかった。
しかし彼は「僕とワシントンDCの関係は変わっていない」と、ウィザーズとフランチャイズについては多くを語っている。
新型コロナウイルスの影響で無観客での試合となったが、ティップオフの前にウィザーズでの業績を称えるトリビュート・ビデオは十分に彼の心を動かした。「ファンがいないのは残念だ。僕は彼らのため、この街のためにプレーしていたからね。僕は感情的で情熱的なタイプで、ここで10年やってきた。僕を応援してくれたみんなに会いたかったよ」
「僕が少年だった頃から10年間支えてくれた人たちもいるんだけど、パンデミックで解雇されてしまって会えなかったのも残念だ。僕が少年から大人の男になる上で、彼らは大きな助けとなってくれた。彼らの幸せを願いたいし、来シーズンにまたここに来る機会があったら、僕の成長を見守ってくれた人たちを招待して、忘れていないことを伝えたい」
ロケッツは119-131で敗れたが、ウォールはウィザーズのディフェンスをスピードで突破し、自らの得点もパスでのチャンスメークも冴えた。35分のプレーで、29得点と11アシストはいずれもシーズンハイの数字。強引なドライブから左手でダンクを叩き込むシーンは、アキレス腱を断裂する前の全盛期を思い起こさせるプレーだった。
試合はウォールとブラッドリー・ビールの点の取り合いに。長くコンビを組んだビールとのマッチアップは、1月末にヒューストンで行われたゲームに続いて2度目とあって、「あまり意識しなかったけど、彼との戦いは楽しいよ」とウォールは言う。プレーが途切れると、短く言葉をかわして笑顔を見せる。そんなやりとりが何度も見られた。
ビールが「お互いに刺激して、もっと良くなるんだ。競争が僕たちの性分だし、これからのキャリアでも彼との対戦は楽しみだ」と言えば、ウォールは「あいつは楽しそうだったな」と返す。突然のトレード志願、フランチャイズプレーヤーの流出は心の痛む出来事だったが、過去はもう過去のもの。ウォールとビールは、そしてウォールとウィザーズは、感情的なしこりを残すことなく今を生きている。