自由自在のオフェンスに加え、守備ではマブンガをマーク
富山グラウジーズと大阪エヴェッサの第2戦。チャンピオンシップ進出を狙うチーム同士の激戦が今日も繰り広げられた。
昨日の第1戦ではオフェンス合戦の末に大阪が押し切ったが、今日の試合では連敗できない富山が攻守にインテンシティの高いプレーで主導権を握った。違いを作り出したのは第1クォーター途中にベンチから出た水戸健史と阿部友和のベテランコンビ。前からプレッシャーを掛けることで大阪に『走るバスケ』を出させず、水戸は相手の戻りより早く駆け上がってパスを引き出すことで、阿部は岡田侑大との連携でスペースを作り出して、それぞれ3ポイントシュートを決めた。
第2クォーターには阿部と水戸で速攻に持ち込み、ジュリアン・マブンガの3ポイントシュートをアシスト。水戸はスティールからワンマン速攻も決め、さらにジョシュア・スミスがリバウンドを押さえると信じていち早く前線へと駆け上がり、縦一本のパスを引き出す電光石火のレイアップを沈め、富山に2桁のリードをもたらした。
ところが富山はディフェンスから走る展開を続けられない。ディージェイ・ニュービルに2本の3ポイントシュートとスティールからのワンマン速攻を浴びて、あっという間に追い付かれる。得点が奪えなかった5分の間に大阪に走られ、6点ビハインドで後半へ。ハーフタイムを挟んでも流れは変えられず、速攻に3ポイントシュートと得点効率の良いオフェンスばかりを決められた。
富山も簡単には崩れなかった。得点源であるマブンガとジョシュア・スミスは強引に攻めるのではなく、相手を引き付けてパスをさばき、リチャード・ソロモンを使ってミスマッチを突いたり、前田悟にオープンショットを打たせることで大阪に食らい付く。
ただ、勝負どころで大阪はギアを上げてきた。「大阪は」ではなく「ニュービルは」との表現が正しいかもしれない。富山で最も優れたディフェンダーである水戸のマークを受けながら危なげなくボールを運び、慌てることなく時計を進めながら、富山守備陣にズレが生じれば見逃さずに突いていく。さらには試合終盤にマブンガのマークを担当。乗せたら怖いマブンガにアタックするコースを与えず、第4クォーターはフリースローによる得点わずか1に封じた。
富山はホームで同一カード初の連敗「大阪が2日間非常に良かった」
ソロモンや岡田が仕掛けることで富山も食らい付こうとしたが、ニュービルが落ち着いて試合をコントロールすることで大阪には付け入る隙が生まれない。またニュービルが攻守でイニシアチブを取る状況で、他の選手も攻めではスペーシングやスクリーンを、守備ではカットへの対応やリバウンドなど、気を緩めることなく自分たちのやるべきプレーを徹底した。
ニュービルも他の選手と同様にハードワークを欠かさない。5点リードで迎えた第4クォーター残り1分14秒、ピック&ロールからダイブしたアイラ・ブラウンのシュートがリングに嫌われるとオフェンスリバウンドを弾き、ラインを割ろうとするボールへとダイブ。同じくボールを追った前田のファウルを受けて貴重なフリースローを得た。最終盤にはニュービルがソロモンのギャンブル的なスティールを決められ3点差まで詰め寄られたのだが、ラスト30秒をしっかりとコントロール。中村浩陸のシュートは外れたがギャレット・スタツがオフェンスリバウンドを繋いだことで、富山に反撃のチャンスを与えなかった。ファウルゲームを無難に乗り切った大阪が、最終スコア88-83で勝利している。
30得点を挙げて勝利の立役者となったニュービルは言う。「チーム全員で戦えた素晴らしい試合だった。特にディフェンスの強度はすごく高く保つことができたと思う。チームメートやコーチの助けなしには、このような成績は残せない。良いスクリーンを掛けてくれたりパスをくれたり、コーチが僕のやりやすいプレーを指示してくれたおかげだ」
大阪が上位争いを演じるチームに連勝したのはシーズン初。西地区の順位争いでは3位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズに迫り、チャンピオンシップ進出に大きな弾みとなった。一方で富山は、同一カードの連敗は敵地での千葉ジェッツ戦に続き2回目。今シーズン、ホームで連敗するのは初となった。手痛い結果であることは間違いないが、浜口炎ヘッドコーチは「大阪さんが2日間非常に良かった」と相手を称えるとともに「今まで連敗があまりなかったことを評価しているので、切り替えてもう一度、選手の奮起に期待したい」と語った。
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