小島元基

レギュラーシーズン前半戦、王者アルバルク東京は予想外の苦戦を強いられた。それでも、2021年に入ると天皇杯ベスト8でサンロッカーズ渋谷にブザービーターによる劇的な勝利を挙げ、リーグ戦でも最高勝率の宇都宮ブレックスに83-59と快勝するなど成績を向上させている。そんな右肩上がりの中での明るいニュースが小島元基の復活だ。2019年10月に右ひざ半月板の手術を行った影響で、長らく2試合続けての起用を回避するなどプレータイムを制限してきたが1月23日、24日の島根スサノオマジック戦からようやく通常の起用が可能となった。リーグ連覇を経験しているコアメンバーの一員として指揮官の信頼も厚い司令塔に、故障からここまでの道のり、復活への思いを聞いた。

復帰当初は「片足で戦っているような感覚」

――最近、成績が上向いてきているチームのパフォーマンスをどのように見ていますか。

シーズン前半は苦しかったですが、最近は完璧ではなくとも悪くはなく、少しずつ良くなっている感じです。ディフェンスのコミュニケーション、チームルールの遂行などいろいろなところの質が高くなっているとコートに立ってプレーしながら、ベンチで味方のプレーを見ながら思っています。

――小島選手自身の調子についてはどうでしょうか。前半戦は、週末の2連戦は1試合のみの出場が続いていました。ようやく2試合続けて出場できるようになっての感触を教えてください。

悪くはないですが、良くもないです。ここ最近、足の状態が良くなり、ディフェンスがやっと自分らしくできるようになってからは落ち着いてやれています。連続出場がなかった時は、当時の足の状態なら2日連続でプレーするのは微妙でチームに迷惑をかけてしまう。それなら1日頑張って、出ない時は違うサポートをしようと割り切ってやろうと思っていました。ただ、同じ箇所を2度も故障したので難しかったかもしれないですが、もうちょっと早く自分の中で戦える状態になりたかったです。

――ブランクを感じるとしたら、特にどういった部分になりますか。

スタミナが少し戻っていないこと。そして、良くなってきてはいますが、一番は自分の軸であるディフェンスが本調子ではないところです。オフェンスはフィジカル面でドライブした時に微妙な感じですが、シュートタッチは良いイメージでやれています。

それでもリハビリ中はアルバルクの求める強度に自分が合わせられるのかと、ずっと思っていたのでホッとしているところはあります。正直、天皇杯の渋谷戦からなんとなく良いと思えるようになったくらいで、それまでは片足で戦っているような感覚でいろいろなことを考えていました。

「ディフェンスが戦術面における自分たちのアイデンティティ」

――安藤誓哉選手のコンディション不良もあって、23日の試合から先発出場が続いています。このまま先発を維持していきたい思いはありますか。

このまま先発に定着したいと意識することはあまりなく、アンディー(安藤)がずっと今まで引っ張ってくれたので、今はちょっと休んでいてという感覚です。他の選手も自分がケガをしている間ずっとサポートしてくれていたので、「今ここでやらないと男ではない」と気合いを入れています。同じポイントガードの自分、アンディー、津山(尚大)はシンプルに1人の選手として上手くなることを目指しています。あとは調子が良い選手が試合の最後に出ればいいですし、またベンチスタートとなっても不満はないです。

――起用法が制限されている間、ヘッドコーチのルカ・パヴィチェヴィッチとのやりとりに変化はありましたか。厳しく言われるのは、いつもと同じでしたか。

常に自分自身でプッシュしろと言われていましたが、ケガからコンディションを戻すことは大変なので、やさしく声をかけてくれていました。正直、試合中に怒られていない時は自分の足のことを気にしてくれていると思っていました。足が痛そうと見られるのは好きではないですし、これはちょっと辛かったですね。まだいつもに比べるとやさしいですが、最近は厳しく言われるようになってきているので、やっとケガに関係なく見てもらえるようになってきたと思います。

――後半戦、チャンピオンシップ出場に向けて予断を許さない位置にいますが、意気込みをお願いします。

チャンピオンシップへ向け、もう負けられない、危ない橋を渡っている感覚はあります。まずはディフェンスが戦術面における自分たちのアイデンティティなので、それを引き締めていく。いつもの守備ができるようになれば自ずと勝率は上がってくると思います。オフェンスも良くなってきているので、あとは一戦必勝の姿勢で臨むだけです。

毎年言っていますが、個人としてはディフェンスでもっと貢献できたらチームも上手くいくと思っているので、前からプレッシャーをかけて相手のリズムを崩すことを最優先にプレーしていきたいです。ここまではケガ人が戻ってきたら新たなケガ人が出てしまう状況です。でもアルバルクは今までもケガ人や代表活動で選手が抜けた時、誰かがステップアップして勝ってきました。今シーズンもそれを続けていくだけです。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

シーズン後半戦、一戦一戦、全部勝つつもりで戦っていきます。今はまだコロナの厳しい状況が続いていて、会場に来るのも難しいと思いますが、引き続き応援よろしくお願いします。