コリン・セクストン

セクストンの得点がチームオフェンスの中で効果的な武器に

カイリー・アービングが復帰し注目が集まったネッツを迎えたホームゲームで2連勝し、キャブスは8勝7敗と勝率5割を超えてきました。開幕3連勝したものの、その後ガード陣が軒並みケガで離脱し、3人のセンターを同時起用しなければいけないほど苦しい状況に追い込まれましたが、ダリウス・ガーランドとコリン・セクストンのガードコンビが復帰したことで再び上昇気流に乗ろうとしています。

エースのセクストンは、フィールドゴール成功率が50%を超え、平均26.8点と高確率で決めています。昨シーズンも高いフィニッシュ力は発揮していたものの、視野が狭く、戦術理解に乏しいために、独りよがりなプレーが多くなってしまい、セクストンが得点を奪ってもチームオフェンスが機能しているわけではありませんでした。セクストンの弱点が今シーズンになって改善したわけではありませんが、ガーランドとアンドレ・ドラモンドを起点としたシステムに変更してきたことで、チームのパス本数がリーグ4位と増え、パスゲームの中でセクストンが効果的にフィニッシュに行く形になりました。

昨シーズンはオフェンスが手詰まりになってミドルシュートを打つしかない形に追い込まれることが頻繁にありましたが、今シーズンはしっかりとインサイドまで攻め込めており、ペイント内得点はリーグ3位まで上がってきています。インサイドのドラモンドが起点になることで、パスアウトからの3ポイントシュートの確率が向上し、またガーランドがパスを出した後にオフボールムーブでディフェンスを動かしていくため、ドライブも有効に機能しています。チームとしてのゲームメーク能力が向上したことで、無理のないオフェンスが増え、セクストンの得点がチームオフェンスの中で効果的な武器になっています。

ディフェンスではオフェンス以上に大きな改善が見られます。今シーズンもリーグトップのリバウンド数を誇るドラモンドを中心としていますが、実はチームとしてのディフェンスリバウンド奪取率はリーグ25位と低迷しています。インサイドは強力なリバウンダーであるドラモンドに任せ、チーム全体としてはプレッシャーディフェンスから速攻を生み出すことを優先しており、スティール数はリーグ2位に上がってきました。

この戦術で驚くべき活躍をしているのが、ビッグマンでありながらリーグ首位の2.4スティールを記録しているラリー・ナンスJr.です。ゾーンを多用するディフェンスでカバーリングを担当しながら、サイズの違いとクイックネスを生かして次々にボールを奪い、そのまま自分で運んで速攻にしてきます。3ポイントシュートも42.9%と好調で、リバウンドやアシストでも貢献するなど、オールラウンドな働きでキャブスのキーマンになっています。

ルーキーのアイザック・オコロもエースキラーとして奮闘しており、チーム全体がディフェンスに比重を置いた戦い方で好調を維持しています。チームディフェンスというよりは、個人のディフェンス力に頼る部分が大きいものの、トレードで獲得したジャレット・アレンとトーリアン・プリンスもディフェンス力の高い選手のため、チームとしての狙いも統一されています。

オフに目立った補強もなく、弱点も明確だったことからキャブスの好調さは大きな驚きでした。しかし、チーム内での役割分担が進み、さらにケガ人が多く困った試合があったことで、ベンチメンバーも多く起用されたことで、結果的にチーム力も上がってきました。トレードで各ポジションに若手有望株も揃えたため、さらなるステップアップが期待されます。