金丸晃輔

レギュラーシーズン60試合のうち27試合を消化しての20日間のブレークが明け、Bリーグ後半戦がスタートする。新型コロナウイルスの影響を大きく受けながらも、折り返し地点までシーズンは進んだ。この先の展望を、東地区と西地区に分けて見ていきたい。

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長野とコリンズワースの主体性が三河を浮上に導く

Bリーグ初年度から続く『東高西低』は2地区制になってより顕著になっている。東地区は7位のA東京まで可能性があるが、西地区は19勝8敗で並ぶシーホース三河と琉球ゴールデンキングスが首位を争い、16勝11敗の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、14勝13敗の大阪エヴェッサが続く。

『西の2強』である三河と琉球は東地区上位の強豪とも互角に渡り合っている。琉球は手堅いディフェンスとリバウンドを、三河は突出した個の力を組み合わせたオフェンスを前面に押し出す対照的なチームだ。

三河は橋本竜馬と比江島慎が揃って退団した2018年のオフを機に勝率5割前後と低迷するシーズンが2年続いたが、ようやく新たなチームが機能し始めた。基本的にタイトルを勝ち取るのはディフェンスをベースとするチームだと言われているが、今の三河はダバンテ・ガードナーと金丸晃輔を軸とするオフェンスのチームでありながら、他の選手も主役を張れるようになったことで古豪復活を印象付けている。

長野誠史にシェーファー・アヴィ幸樹と若い選手が持ち味を発揮している。特に長野が実績のあるベテランたちを遠慮なくパスで動かす主体性を持つようになったことで、チーム全体が動き始めた。またポイントガードのカイル・コリンズワースが試合を重ねるごとにチームにフィットし、ピック&ロールから様々な攻めをクリエイトすることで、常に相手チームから徹底マークを受けるガードナーと金丸が有利な形でボールが渡るようになったのも大きい。

こうして「2人のエースだけ抑えておけばいいチーム」から脱却したことが、今の好調の要因となっている。オフェンスのチームだけに試合によって強さに波はあるものの、高い波はより高く、低い波の試合でもそれなり以上に戦えるようになっている。

ジャック・クーリー

クーリーとエバンス、圧倒的な個の力をどう生かすか

琉球は昨シーズン途中に指揮官交代があったが、藤田弘輝ヘッドコーチは継続路線を選択。ディフェンスとリバウンドをベースにした手堅いスタイルで戦っている。このバスケにおいてジャック・クーリーは絶対的なキーマンであり、またオフェンスの面でもドウェイン・エバンスはスラッシャーとしてリーグ屈指の実力を持ち、この圧倒的な個の力が最大の強みになっている。

それと同時に、流れが悪い時にこの2人に任せすぎてしまう悪癖からなかなか抜け出せない。元フランス代表の実力者であるキム・ティリーがデビュー戦からケガに見舞われ、コンディションが上がらないのが大きな誤算。そして日本人選手は岸本隆一、並里成と地元出身の主力が好不調の波が激しいタイプ。シュート力で勝負する岸本は仕方ない面があるにせよ、司令塔の並里がリズムに乗れないとチーム自体も乗れず、クーリーとエバンスだけにボールが集まり単調になってしまう。若い今村佳太にもその傾向がある。

並里を中心にボールがシェアでき、クーリーとエバンスもチームバスケットの中でその個性を発揮できる時には、どのチームが相手でも粉砕する爆発力を出せる。開幕節の宇都宮戦では外国籍選手が合流できておらず連敗を喫したが、これを例外とすれば東地区の強豪にも互角に渡り合っている。

実際、11月のアウェーでの川崎戦、12月のホームでのA東京戦の1試合目ではチームが噛み合い圧倒的なパフォーマンスで勝っているのだが、これが毎回とは行かないのが難しいところ。ここは藤田弘輝ヘッドコーチの舵取りに注目したい。

三河も琉球もチャンピオンシップ進出は半ば決めたようなもので、腰を据えてチーム強化に集中できるはずだ。ここから先はチームを成熟させ、安定感が求められるが、それが選手の個性や今のチームが持つ魅力を殺してしまう方向に向かうのではなく、今以上に爆発力に磨きを掛けてBリーグの『オンリーワン』を目指してもらいたい。