平松克樹「一つひとつの勝ちにこだわってやっています」
ウインターカップ1日目、昨年大会の準優勝校である福岡大学附属大濠が登場し、96-65で岡山商科大学附属を下した。
大濠は試合序盤から強度が高いディフェンスを行い主導権を握る。スティールからの速攻やハーフコートでも速いパス回しでズレを作ったり、ドライブでディフェンスを引き寄せては味方のシュートチャンスを作り出すなど、人とボールがしっかりと連動して動くことでリズム良く得点を重ね、前半で52-24と大量リードを奪う。
しかし、第3クォーターになると流れが変わる。岡山商科大学附属のトランジションバスケ、そしてペイントアタックを止めることができずに、このクォーターだけを見ると21-24と大濠が下回った。
片峯聡太コーチは後半の入りについて、こう振り返る。「スタートメンバーの子たちが、『もうちょっと得点を取りたい』という部分に目がいってしまいました。本来、今年のチームはディフェンスをガンガンやって、そこから5人でオフェンスをするスタイルなので、第3クォーターのところではそれを見失っちゃったかなと。そういうところの全員の共通理解、共通認識とオフェンスの面を整理して次の戦いに備えたいです」
それでもこの試合では針間大知が16得点、山際爽吾も12得点とセカンドユニットの活躍が目立った。片峯コーチも「針間を始め、控えのメンバーたちが思ったよりも緊張せず思い切り自分の良さを出そうとプレーしてくれましたので、それはすごく良かったですし、次のゲームに向けての力になると思います」と収穫を語る。
キャプテンの平松克樹はチーム最長の29分31秒のプレータイムで7得点3リバウンド8アシスト3スティールを記録。数字に出ているように、周りを生かすプレーでチームを引っ張ったが、本人は「周りを使うことを意識しすぎて、自分のところでのアタックドライブなどでチームの流れを作り出すことができなかった」と振り返り、次戦に向けてこう意気込む。
「次の試合では自分が仕掛けて犠牲になって周りを使ったり、自分で行けるところは行ったりして、自分を中心にもっと良い流れを作れたらチームのオフェンスリズムがスムーズになると思います」
大濠は昨年大会で準優勝を果たし、今年も優勝候補の一角として見られている。平松に勝利に対するプレッシャーはあるかと問うと、こう答えた。「一試合一試合、一つひとつのプレーで相手を上回らないといけないとは思います。絶対に勝たないといけないというプレッシャーというか、そういう一つひとつの勝ちにこだわってやっています」
「自信を確信に変えられるのはメインコートに立つか否かというところ」
今回のウインターカップは今年度の最初で最後の全国大会だ。さらに新型コロナウイルス感染対策のため、例年とは異なる雰囲気の中で試合を行っている。片峯コーチはウインターカップ初戦を終えて、いつもと違う雰囲気となっている大会の影響は少なからずあると語る。
「本来であれば1年間を通してインターハイや国体、他にも大きなカップ戦だったりで、メインコートでやる機会を経てこの場に来ます。今年はそれがなかった上に、今回はコロナでこういう環境の中でやるので、いつもと比べるとアドレナリンが出るような環境ではない」
「だからこそ、自分たちがやってきたことにどれだけ集中してやれるかだと思います。彼らはその自信はあるはずなんです。でも、それが間違いないんだということを、この大会のどこで感じ取ることができるか。そこからさらに、もう一段ギアを上げて頑張り切ることができるかが、今大会のすごく大切なところだと思います」
コーチが感じているように、平松も「観客がいない中で、声もコートの中でしかあんまり出せない状況だったので、ちょっと違和感はありました。それでも、それはみんな同じなので、次の試合からはもっともっとハードにプレーして声を出してやっていきたいです」と言う。
次戦は県立広島皆実を96-56で下した関西大学北陽と12月25日に対戦する。一戦一戦が大切になってくるが、大濠が目指すのは昨年あと一歩届かなかった日本一だ。片峯 コーチは言う。「次の試合も良いエースがいるチームなので、そこにしっかりアジャストしないと厳しいと思いますし、自信を確信に変えられるのは3回戦、メインコートに立つか否かというところの試合が我々にとってキーになってくると思います」