間山柊&西田陽成

福岡大学附属大濠が最後に日本一になったのは、2017年のインターハイのこと。今の3年生はその翌年に入学し、国体では優勝しているが大濠での日本一を成し遂げる最後のチャンスが、今回のウインターカップになる。西田陽成は優大、公陽の弟で、大濠でプレーした3兄弟が日本一になる最後の機会を背負う。間山柊は194cmの高さに任せたプレーをせず、スキルとIQを磨き上げてきた大濠らしいビッグマンだ。インターハイが開催されなかった今年、彼らにとっては最初で最後のチャンスとなるウインターカップに向けた意気込みを聞いた。

「一戦に全員が懸ける熱量がまだ足りていない」

──まずは自己紹介と、お互いの長所と短所を教えてください。

西田 西田陽成です。全員が大濠バスケ部の西田3兄弟の三男で、周りからは兄弟の中でも一番センスがあると言われています(笑)。得意なプレーはドライブと3ポイントシュートで、去年のウインターカップでは3回戦まではスタメンで出ていました。

間山 間山柊です。ポストプレーとミドルシュートが得意で、実績としてはU16の日本代表です。去年はウインターカップ県決勝までスタメンで出ていました。

西田 間山の良いところはその場その場で自分の意見をパッと言えて、修正するところをみんなに伝えてくれるところです。でもそこでもうちょっと簡単に短く説明してくれるともっと良いです。あとは時々ですけど自分中心でプレーしてしまうことがあるので、そこは自分でコントロールできるようになってほしいです。

間山 僕はよく西田優大さんのシュートや緩急を付けたドライブをyoutubeとかで見ていたんですけど、確かにセンスは陽成が一番ある気がします。陽成の良いところは、周りの意見をちゃんと聞いて、そこに合わせてプレーしてくれるところ。ただ、もうちょっと自己主張というか、自分がどうやりたいのかを発信することに意識を向けてくれたらと思います。

西田 性格上、そういうのがあまり得意じゃないというか、頑張って出そうとしているんですけどシャイなので、いざという場面で迷ってしまうんですよね……。試合で誰かがミスしても厳しく言うんじゃなく励ますタイプで、怒るのは苦手なんです。チームを鼓舞するという意味では頑張ってやっていきたいんですけど。

──2人とも大濠で3年間頑張ってきました。この3年間で自分が成長したと思うきっかけ、印象深い出来事は何ですか?

間山 去年のウインターカップ2回戦の開志国際との試合で、チーム全体で鼓舞し合って最後に勝ち切った時に、今までにないチームの団結力だったり前向きな雰囲気を感じられて、3年間で一番盛り上がりました。それが一番印象に残っています。今のチームは一戦に全員が懸ける熱量がまだ足りていないのですが、自分も含めて出せると思っています。そういう意味でも、陽成がもっと周りをガーッと鼓舞することも必要だし、出ている全員が集中しているんですけど、もっともっと自分にできることを出していけば去年のような熱量が生まれると思います。

西田 個人的に一番良かったのは去年の沖縄でやった九州大会で、4試合で平均2桁得点が取れて、3ポイントシュートも4試合で22本中12本決めて、あの大会があったことでその後の試合でも思い切って3ポイントシュートを打てたりドライブができるようになりました。去年はキックアウトとか仲間に状況を作ってもらってフィニッシュするだけだったんですけど、あの大会をきっかけに自分でチャンスを作って決める力がだんだん付いていると思います。

間山柊

間山柊「福岡第一とウインターカップでもう一度やりたい」

──では逆に、この3年間で一番苦しかった時期、出来事はどんなものでしょうか?

間山 自分の中で苦しかったのは1年のウインターカップ県決勝です。その時は1校しかウインターカップの出場枠がなかったので、3年生がその試合に懸ける熱量はすごかったし、その姿を見て僕たちも練習で支えたいと思いました。実際そういう行動をしていたんですけど、それでも勝てなかったことは、自分の中では今までにないショックでした。

西田 僕が辛かったのは去年のウインターカップです。スタメンで出してもらって、開志国際との試合では影の部分で活躍できていたんですけど、やっぱり得点に絡むことが全然できてなくて、すごく悔しかったです。メインコートになってからはスタメンから外れて、試合には出してもらってチャンスがあったんですけど、そこでも決めることができなくて。それは今までバスケットをやってきた中でも一番の挫折でした。その時は優大くんにも相談したし、自分でも結構悩んだんですけど、その状況を変える力が自分になかったことが一番悔しかったです。

──それぞれ、その壁をどうやって乗り越えましたか?

間山 負けてしまった結果に対してはどうすることもできないです。勝ったらウインターカップで、そこでも勝ち負けがあったわけですが、どんな結果が出ようとも絶対に後悔しないように一日一日の時間を無駄にせず、どれだけ自分を追い込んで努力できるかにフォーカスするようになりました。それはあの試合を終えてからの変化だと思います。

西田 自分の良かった試合を見直すことで気持ちを上げて、他のことを考えることで気分転換するようにしました。14番は大濠のエースの番号で、それを重荷に感じる部分もありました。でも、それまでは2人で点を取っていた岩下准平がケガをしてしまって、その分まで自分がやらなければいけないと覚悟を決めたことで、重荷というよりも今は「自分でやるんだ」という気持ちになりました。でも、「自分が」という気持ちも大事ですが、1対1でバンバン抜く力はまだないので、エースの自覚は持ちつつも自分がチャンスを作ってアシストしたり、全員で点を取るチームにしていきたいです。

──ウインターカップ開幕が近づいてきました。個人的に対戦したいチームや選手はいますか?

間山 やっぱり福岡第一とウインターカップでもう一度やりたいです。(キエキエトピー)アリとのマッチアップになりますが、国体のチームでは一緒で仲が良いんです。この前は負けているので、今度は勝つことが大前提で、アリともう一度やりたいですね。

西田 僕は明成とやってみたいです。インターハイとウインターカップでは明成を相手に勝ったり負けたりだったので、明成ともう一度やってみたい気持ちが強いです。個人的には点を取る選手全員に負けたくないです。ウインターカップでは30得点は取れると思っているし、その30点も中と外のバランス良く取るのが目標です。

西田陽成

西田陽成「3兄弟の代では優勝できていない、最後に僕が優勝を」

──この3年間で日本一を経験したのは、去年の福岡県で出場した国体だけだと思います。大濠として全国制覇する最後のチャンスとなりますが、今回のウインターカップに懸ける思いはどのようなものですか?

間山 大濠に来たからには日本一になりたいと思うのが当たり前ですけど、その中でも僕たちが1年生の時に3年生の先輩たちが積み重ねてきたものがあると感じました。自分が日本一になりたい気持ちに加えて、今までの伝統だったり先輩たちの思いが重なっています。チーム全員がそうだと思いますけど、日本一に対する気持ちはものすごく強いです。

西田 ウチは3兄弟が大濠でバスケをしてきましたが、3兄弟の代では優勝できていません。だからこそ最後に僕が優勝することで、親にも「大濠に送り出して良かった」と思わせたいです。そのためにもエースとして自覚を持ってやらないといけないです。

──最終調整の段階かと思いますが、今はどこに重きを置いて練習していますか?

西田 今年のチームはそれぞれがもっと個性を出すことが大事だと思うので、この1カ月は個人の能力を上げつつ、個々の力が上がることでチームがよりまとまって強くなれるよう意識して練習しています。

間山 今まではチームのまとまりばかりを気にしてしまい、個の大きさというのがあまりありませんでした。まだまだ大きくできる状態だと思うので、僕もそうですし他の選手も個をより大きくして、それをまたチーム内の練習中だったり試合のコミュニケーションで、チームとしての一つのまとまりにしています。抽象的ですけど、そういうイメージを持ってこれからの練習や試合に取り組んでいきたいと思います。

──ウインターカップで個人的に見てもらいたいのはどんなところですか?

西田 ドライブと3ポイントシュートです。チームでドライブからキックアウトしての3ポイントシュートだったり、ドライブからの合わせだったり、1人で取るのではなくチームで取る点を見てほしいです。

間山 僕もチームで取った点を見てほしいです。自分のプレーのイメージはできているんですけど、チームのバランスを崩さずに自分をいかに出せるかがまだ確立できていません。僕がチャンスを作ってのキャッチ&シュート、チームの動きで僕が合わせて中で点を取ったりしてきたんですけど、それ以外にどれだけ自分の個を出せるかにチャレンジしていこうとしています。1年生の頃からそれはずっと悩んでいますが、ウインターカップまでにしっかり作り上げたいです。

西田 去年は準優勝に終わっているので、今年は絶対にすべて勝って優勝したいです。

間山 そうですね。今年はコロナがあって試合の経験が十分ではありませんが、周りの高校が早く終わってしまう中で僕たちはこうやって最後までウインターカップを戦うことができるので、感謝の気持ちを持って戦って、日本一になりたいです。