川崎ブレイブサンダースを率いる佐藤賢次、中断期間の『立て直し』に自信「川崎らしさが見える試合を」

川崎ブレイブサンダースを率いる佐藤賢次、中断期間の『立て直し』に自信「川崎らしさが見える試合を」

2020/12/01 18:00
佐藤賢次

川崎ブレイブサンダースは、10勝5敗でブレイク前の序盤戦を終えた。ただ、11月はマティアス・カルファニ、ジョーダン・ヒースの中心選手が揃って故障者リスト入り。さらに琉球ゴールデンキングスを相手に昨シーズンはなかった同一カード連敗を喫するなど、苦境をチーム一丸となって乗り切った印象が強い。佐藤賢次ヘッドコーチは、このシーズン序盤の戦いをどのように評価しているのか、話を聞いた。

「チームの原点、川崎らしさが少しブレてしまった」

──このブレイク中にまとまったオフがあったと思いますが、どのように過ごしていましたか。

ひたすらバスケのことを考えていました。開幕15試合を1ポゼッションずつすべて見直し、何度も見た試合もあります。本当はリフレッシュをしたかったですが、なかなか上手くいかないことも多かったので、ちょっと頑張ろうと思ってやっていました。

──見直してあらためて感じた序盤戦の印象はいかがでしたか。また故障者以外で最も苦しんだのはどのような部分でしたか。

あらためて振り返ると、今シーズンから外国籍選手のベンチ登録が3人になったことは大きな変化ですね。そのルール変更も踏まえてどういうローテーションがいいのか試しながら、この15試合で昨シーズンのベースの上に新たな強みを加えて今年のスタイルを作るのが目標でした。ただ、昨シーズンのベースがあやふやなまま新しい武器を作ることにフォーカスしすぎてしまい、全体的に川崎らしさが出ない試合が多くなってしまったのが一番の反省点です。

──川崎は去年と選手が代わっておらず、ベースがある上でのチーム作りだと思いますが、その中でも難しさはありましたか。

僕自身、チームのベースがみんなに染み付いている感覚でした。開幕前の練習、プレシーズンでもしっかり意識しながらやれていると見ていました。ただ、ここは僕の甘さで反省点ですが、昨シーズンは途中で打ち切りとなり、そのまま自粛もあって約7カ月リーグ戦の試合から離れている期間がありました。今シーズンに向けての準備でも外国人選手の合流が遅れ、さらにバラバラに加わるという中、やっぱりイチからチームを作り直すくらいの姿勢で臨まないといけなかった。7カ月のブランクは大きく、ベースがあると思っていたのがそもそもの間違いだったと感じています。選手にいろいろと意見を聞いてみても、やっぱりしっくりこないと感じている声が多いです。

──昨シーズンに比べると3ポイントシュートの確率が上がってきません。この状況をどう見ていますか。

実際にオープンショットの数は相手より多いです。オフェンスの目標は、オープンショットとイージーショットを相手よりたくさん打つことで、その点で言うとそこまでは悪くありません。10勝5敗の成績が示すように、すべてが悪かったわけではないんです。シュートが入らない点は、あの手この手でずっとアプローチをしていますが、結局のところチームの原点、川崎らしさが少しブレてしまっていた。だから思い切って打てていない、オープンだけどリズム良く打っていないのかなと思います。

佐藤賢次

カルファニとヒースのケガは「結構ヘコみました」

──ここまでの選手起用を見ると、タイムシェアはしていますがローテーションではありません。例えば前半は全く出番がなかったのに、第3クォーターに多く使うといった偏りも見られます。選手の交代について、何か意識しているところはありますか。

試合に出た選手が、それぞれ目をキラキラさせて「俺の仕事場だ」という形で生き生きとプレーできる場面を作ってあげたい。それを作るのが僕の仕事だと思っていますが、なかなかそれを作りきれてないというところです。それは次の課題で、準備しているところです。

起用法についてはできるだけ自分の意図をしっかりと伝えた上で コートに出ていけるように、コミュニケーションは大事にしています。ただ、ここまでは少し足りなかったです。いろいろなパターンがあって伝えることが多すぎたことで、僕自身だけでなく選手も混乱してしまったと思います。

──カルファニ選手、ヒース選手と中心選手が続けて故障者リスト入りしたことは、さすがにメンタルにダメージがありましたか。

「スポーツにケガは付き物なので、そこまで気にしないですよ」と言いたいところですが、結構ヘコみました。強度の高いバスケットボール、チームに勢いをもたらす精神的な支えなど、2人はチームの心臓部だと思っているので、彼らの離脱からプランが崩れ始めたところはあります。

昨シーズンもケガ人が出ており、リカバリーを大事にして良いコンディションで最後まで戦うことが開幕前に掲げた目標の一つでした。その中でケガ人が出たのはショックでしたし、正直な思いとして立て直すのに時間はかかりました。ただ、コンディショニングチームがしっかり原因を探ってくれていますし、離脱した2人がパワーアップして戻れるようにリハビリなど毎日ハードワークしてくれています。本人たちも意欲的に取り組んでいます。まだまだここからが勝負だと思っています。

──故障者もあって11月は2勝3敗と苦しい戦いとなりました。佐藤ヘッドコーチはどう総括していますか。

琉球戦で連敗し、ジェイ(ヒース)も離脱してしまいました。残り3試合の相手が千葉、富山だったので5連敗、全部勝てないことも考えましたが、千葉戦の勝利は大きかったです。組織として一つのことに力を注ぐ、それがまとまった時のパワー、勢いを取り戻せた試合でした。琉球相手の2連敗は痛かったですが、千葉に勝てたことでやるべき方向性が一つ見えました。苦しい5試合でしたが収穫もありました。一方、富山に敗れた2戦目は相手の戦術へのアジャストを何とかしながらも、最終的にはニック(ファジーカス)が疲れて勝てなかった。そこはもうちょっといろいろできたという反省点はあります。

──満身創痍の中で勝った千葉戦は、同じく複数の主力を欠く中で勝ち上がった天皇杯を思い出させるものでした。

あの試合をベースにしなければいけないですね。やるべきこと、考えをシンプルにしてエナジーを出す。その方向性がやはりウチには一番合っている。いろいろな強みをどう組み合わせいくのか、あれもこれもやるというよりは、シンプルにしっかりエナジーを出して相手にぶつかっていく。ずっとやり続けるのは難しいですが、そこにチャレンジするのが次の方向性だと思っています。

佐藤賢次

「何が変わったのか、しっかりファンの皆さんに見せます」

──新型コロナウイルスの感染対策で様々な制限がある中で、最も難しく感じるのはどんなところですか。

チーム作りにおいて一番影響があるのはコミュニケーションです。選手とご飯もなかなか行けないですし、毎年やっている決起会もできませんでした。去年は選手、スタッフの家族を招いてファミリーとしてやっていきましょうという会をやりました。集まって何かをすることができないので、ここから先はそれを補うために何をするのか、もっと考えていかないといけないです。

普段もマスクをして、できるだけ会話を控えています。毎日の食事中も全部パーテーションが付いていて、速やかに食べて部屋に戻る。遠征先のホテルの食事は教室みたいな感じでみんな前を見て食べる。また、マスクだと表情が見えにくいですよね。声とか言葉だけだと選手に伝わりきらないことはあります。僕は感情を爆発させるタイプではないので、マスクをしたまま何かを伝えることの難しさを感じる時は正直あります。

──マット・ボンズ選手、セドリック・シモンズ選手が新たに加入しました。彼らはカルファニ選手、ヒース選手とはまたタイプが違う選手です。

今回チームがマット、セドリックと2人の素晴らしい選手を補強してくれました。選手の持ち味を生かすのがシステムなので、2人の特徴が生きて、周りの選手の特徴も生きるような微調整は必要だと思っています。ただ、詳しくは言えないですね。次の相手が天敵の宇都宮なので(笑)。

──バイウィーク明け、宇都宮戦はリーグ全体においても大きな注目を集めています。

結果がどう出るのか分かりませんが、とにかくコートに出たら選手たちはそれぞれの強み、エナジーをすべて出し切る。そして交代して、次の選手も同じようにすべてを出して繋いでいくのが、自分のやりたいバスケットの軸です。それをぶつける相手として、宇都宮さんは一番良い相手です。結果がどうなるかは、やってみないと分かりません。とにかく、そういうバスケットを見せたいというのが一番ですね。

──ここからの意気込みとファンの方へのメッセージをお願いします。

開幕15試合は、戦っている自分たちが「何か川崎らしくない」と感じていたので、見ている人たちがそう感じるのは当たり前です。何を言われてもその通りというところでした。大事なのはここからどうするか、みんな川崎らしさを取り戻したいと思っているのを確認できたので、「ここからの戦いを見てください」と、自信持ってやっていきたいと思います。

今はもっと強くなるための課題が見え、手応えを感じているところなので、川崎らしさが見える試合を楽しみにしてもらいたいです。試合を通じて何かを伝えられるチームを絶対に作りたいと思っているので、それを楽しみに、また会場や、配信でプレーをぜひ見てほしいです。何が変わったのか、それをしっかりファンの皆さんに見せますので、確認していただきたいです。

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