「初戦からベスト8、ベスト4のつもりでやる」
ウインターカップを制するには6試合、シード校でも5試合に勝つ必要がある。個々がどれだけ力を発揮し、チームとして磨き上げたバスケットを実践できるかが問われると同時に、短期決戦でもあるため、組み合わせの妙も重要となる。今年はインターハイが行われず、対外試合の機会も限られているために『一発勝負』の感が例年以上に強い。それだけに、特に1回戦や2回戦で強豪と当たるのは避けたいというのがどのチームのコーチも抱く本音だろう。
だが、普段は教員であるコーチも全国大会の舞台となれば結果にこだわる勝負師だ。組み合わせ抽選の結果が厳しくても、それは選手たちを奮い立たせる材料に変える。
初戦で北陸と対戦する中部大学第一は、東海ブロック代表として出場権を得ていたために愛知県予選には参加せず、公式戦の経験に乏しいままウインターカップに入ることが不安要素。常田健コーチは「予選がない分、1回戦の入りに不安がありました。蓋を開けてみれば北陸さんなので、相当気合いを入れていかなければいけません」と語る。
「不安は相手が北陸高校さんだからではなく、1回戦だからです。正直、決まった時は『マジか』と思いましたが、相手が決まればやってやろうとポジティブに考えます。初戦からベスト8、ベスト4のつもりでやる必要がありますね。北陸さんが1試合どこかとやって、ウチが初戦だったら本当に嫌でしたが、初戦なのは北陸さんも一緒なので。乗せると怖いチームなので、乗せないように試合の入りをしっかりやりたいです」
「ウチとしてはシナリオができた感じです」
優勝候補の一角に挙げられる東山も厳しいグループに入った。3回戦までに飛龍、福岡大学附属大濠と当たることが濃厚で、ベスト8以前に強豪との対戦が続くことになる。だが、大澤徹也コーチは抽選結果を不運と嘆くのではなく、むしろ大歓迎していた。
「私としてはチャンスです。キツいとは思いません。大好きな原田(飛龍の原田裕作コーチ)とウインターカップで対戦できて、大濠さんと報徳さんに勝って、洛南さんにリベンジできる。決勝には福岡第一に上がってきてもらいたいです。神様はいるんだなと思いました。キツいと言われると思うんですけど、ウチとしてはシナリオができた感じです」
「気を抜けるような試合はウチには必要ありません。どんなチームが相手でも緊張感を持って、叩きのめすつもりでやります。東山は暴れますよ。口だけにならないように準備します」
トーナメントの組み合わせが決まったことで、チームには新たなモチベーションが注入されたに違いない。組み合わせ結果がどうであろうが、目の前の試合を一つずつ勝ち上がっていくしかない。そのウインターカップは12月23日に開幕する。