「走って守るバスケを大きな舞台でも見せたい」
圧倒的な私学優勢を誇る近年の高校バスケ女子界で、2018年大会で4位、昨年大会もベスト8。県立津幡は、公立高の希望の星とも言える存在だ。
今春、これらの成績を作った主力たちが卒業。スタメン全員入れ替えでスタートしたチームを引っ張ってきたのが、昨年下級生として唯一ウインターカップでプレーした佐藤杏音だ。
中学時代の最高成績は県大会出場。県選抜とも無縁だったが、津幡が主催する招待試合でのプレーが評価され、県屈指の強豪チームへの道が開けた。東山耕平コーチは「身体能力が高く、オフェンスに関してとても積極的。身体も強い。高校生になったら伸びるだろうと思って声をかけました」と当時を振り返る。
東山コーチの見立てどおり、佐藤は1年時のウインターカップからベンチ入りを果たした。入学後からコツコツと練習してきた3ポイントシュートが実を結び、昨年のウインターカップ準々決勝、京都精華学園戦では、6本の3ポイントシュートを沈めて20得点。今年2月の北信越新人大会決勝(67-70で敗北)でも、3ポイントシュート6本の26得点と大活躍したが、「自分がマッチアップした相手も同じ点数だったので、ちょっと悔しさもあります」と笑う。大一番での勝負強さに加え、負けん気の強さも彼女の大きな魅力だ。
前述のとおり、今年のチームには、全国大会で長くプレーをした経験を持つ選手が佐藤しかいない。佐藤自身も去年のウインターカップが終了した直後から、「全国を経験している自分が、チームを引っ張っていかなきゃいけない。責任感を養わないと」と自らにプレッシャーをかけたという。
普段はおとなしく、口数も少ないタイプ。新チーム発足時にキャプテンの指名を受けた時は驚いたと話すが、「否定されることを恐れず、自分の意見を伝えることを心がけてきました」と自らの殻を破ろうと努力を重ねてきた。東山コーチも「おとなしい性格なんですけど、すごく努力家。彼女の頑張る姿に周りの選手たちも信頼を寄せています」と話す。
メンバーは代わっても、チームが目指すスタイルは変わらない。「チームがモットーとする『走って守る』というバスケを、大きな舞台でも見せたい」という佐藤の強い思いが、目標であるメダル獲得へと繋がっていくはずだ。