桜花学園

昨年のウインターカップで圧倒的な強さを見せて22回目の優勝を勝ち取った桜花学園。その優勝メンバーである江村優有、前田芽衣、オコンクウォ・スーザン・アマカの3人は3年生になり、今年もコート内外でチームを引っ張っている。新型コロナウイルスの影響で例年通りに対外試合ができない日々が続いたが、それでも桜花学園が目指すのは常に日本一。そんなチームのキャプテンを務める江村と副キャプテンの前田に、ウインターカップへの意気込みを語ってもらった。

「普段は元気で面白い。関西の面白さが出ています」

──まずは自己紹介からお願いします。

江村 江村優有です。出身中学は長崎県の広田中です。中学の時は全中には出ていないですが、ジュニアオールスターで2年連続準優勝しました。ポジションはポイントガードで、得意なプレーはドライブから中でシュートを決めることやアウトサイドシュートです。最近、英会話の授業で『ディセンダント』という映画を見てから、外国の映画を英語で見ることにハマっています。

前田 前田芽衣です。出身中学は大阪薫英女学院で、全中3位とジュニアオールスターでは優勝しました。ポジションはシューティングガードで、得意なプレーはディフェンスと3ポイントシュートです。今ハマっているのは韓国アイドルの『TOMORROW X TOGETHER』です。

──前田選手は今回初めてのインタビューになります。桜花学園に進学した理由と、バスケをしている中学生なら誰もが知っている桜花学園への入学が決まった時の気持ちを教えてください。

前田 井上(眞一)先生から声を掛けていただいて、入りたいと思いました。桜花学園は何回も日本一になっているチームなので高いレベルのバスケットができること、その中でも争いがあるので個人としてもしっかり頑張ってバスケットのレベルを向上させていと思いました。チームとしても優勝に向けて頑張って、常に全力でやっていこうと思いました。

──江村選手はいかがでしたか?

江村 最初は素直にすごいチームから声を掛けられてうれしかったです。レベルが高いチームで自分がどれだけ成長できるかな、という楽しみがありました。

──江村選手はどんなキャプテンですか?

前田 日常とバスケのメリハリがしっかりしているキャプテンです。日常は目立つまいというか、大人しいんですよ(笑)。学校生活の中でもひっそりという感じなんですけど、コートに立つと存在感を出すし、チームメートを引っ張ってくれる感じです。それに1年生の時はそんなに声が出なかったけど、3年生になってからはコートの中で常に声を出しているし、チームが落ち込んでいる時も率先して声を出してくれるので変わったなと思います。

江村 キャプテンだし、ポイントガードとしても一番声を出さないといけない役割なので、そこは意識してやっています。

──では、江村選手から見た前田選手はどんな人ですか?

江村 普段はとりあえず元気で面白い。関西の面白さが出ています。

前田 そういうつもりはないんですけど、周りからしたら面白いみたいです(笑)。

江村 バスケでは副キャプテンとしてキャプテンを支えてくれたり、自分が見えていない部分やチームのことを考えて声を出してくれるので助かっています。去年のインターハイからスタートになって、そこから試合経験を積んで今ではパスを回したら確実に3ポイントシュートを決めてくれるので、すごく頼りになります。それに粘り強いディフェンスも強みだと思います。

前田 1年生の時は江村の代わりに出ていたのでポイントガードでした。2年生の時に先生が私をシューティングガードとして使ってみたらプレーが良くなったので、そこからシューティングガードをしています。

──シューティングガードが上手くハマってプレータイムが伸びたんですか?

前田 2年生の時のインターハイ前の東海予選の時に、スタートの選手がケガをしたんです。その試合前日に「明日スタートで出るから」と先生から言われて、そこからずっとスタートです。その時は「このチャンスを逃したらもう絶対にスタートにはなれない」と思ったので死ぬ気でプレーしてきました。

桜花学園

「全員でミーティングを開いて毎日質の高い練習を求めて頑張ってきた」

──今年3冠を達成したら、ウインターカップ優勝が井上コーチにとって70勝目の日本一だったんですよね?

江村 それをプレゼントしたかったです。インターハイ中止を知った時は、残念な気持ちと悔しい気持ちが大きかったです。インターハイがなくなった時にチーム全体のモチベーションが下がってしまったので、どうしようと思いました。ただ、最後のウインターカップで優勝することが一番の目標だったので、そこに向けてモチベーションを上げて、全員でミーティングを開いて毎日質の高い練習を求めて頑張ってきました。

前田 インターハイがなくなった分、逆に時間ができたとプラスに考えました。できた時間で下級生とコミュニケーションを取ったり、基本的な身体作りをしたり。「いつもとは違うやり方で自分を成長させる時間ができた」とみんなにも言って、モチベーションを上げるようにしてきました。

──今年の桜花学園はどんなチームですか?

江村 どこのポジションも得点が取れることと、いつもの桜花の持ち味であるディフェンスからのブレイクが強みです。

前田 点数を取れるのもそうだし、もし失敗してしまった時に修正するためにコート内でしっかりコミュニケーションを取れるところが強みだと思います。

──先ほどアマカ選手にも取材をしましたが、日本語がすごく上手になっていて驚きました。

江村 前よりもしゃべるようになったからかな? 自分はあんまりコミュニケーションを取っていなかったんですけど、今年は前よりも取るようになりました。もともと私がしゃべるタイプではないのであんまりしゃべったことなかったですが、最近しゃべるようになった感じです(笑)。

前田 江村さんは部屋で自分の時間を一人で楽しむタイプなんですよ。

──そんな江村選手が自らキャプテンに立候補したとは驚きです(笑)。

江村 バスケは別なので(笑)。

前田 前は事務連絡だけみたいな感じだったんですけど(笑)、今はだいぶ変わりましたね。きっと根は大人しくないんですよ。最初は猫かぶっていたけど、最近はかぶってないんだと思います。ノリも悪くないですよ、乗る時は乗ってくれるので(笑)。

江村 バスケの時は全然良いんですけど、それ以外はゆっくり、静かに過ごしたくて。キャプテンを決める時は先生が決めるものだと思っていたんです。そうしたら先生から「誰がキャプテンをやるんだ?」と言われて、その瞬間にみんなが私をバッと見てきて。自分は1年生の時から司令塔として試合にも出ていて経験はあるので、チームを引っ張って行けるように頑張ろうと思いました。

桜花学園

「終わった後に『あれはアカンかった』って反省します(笑)」

──桜花学園は常勝軍団ですが、その秘訣は何だと思いますか?

江村 やっぱり先生が基礎、基本を大事にしているところだと思います。そこが徹底できていないと崩れてしまうので大事にしています。

前田 先生自身ができないことに対しての追求力がすごくて。シュート一つでもしっかりと決めないとダメだし、一つひとつのミスに対してしっかりと指摘してくれます。そのおかげで全員の基礎がしっかりとできていることが、強さの秘訣だと思います。

──コーチから怒られた時は、嫌な気持ちになったり、態度に出てしまうことはないですか?

江村 「なんか違くない?」と思ったことはあります(笑)。その瞬間は「え?」と思ったりもするんですけど、あとでちゃんと考えたら「そういうとらえ方もあるのか」と思っています。

前田 エム(江村)は練習中にプンっていう態度を取るんですよ。だけど、終わった後に「あれはアカンかったよな」って反省するんです(笑)。

──今年のウインターカップは東京体育館で開催されますが、特別な思いはありますか?

江村 自分たちは東京体育館でやったことがないので、すごく楽しみです。ウインターと言えば東京体育館、みたいなところがやっぱりあるので。

──では、最後にウインターカップでの注目ポイントを教えてください。

前田 自分は粘り強いディフェンスが武器だと思っているので、ディフェンスの部分で相手の得点源やエースの得点を止めていきたいです。オフェンスでは確実に外からのシュートを決めていこうと思います。

江村 個人的には去年はアシストの方が多かったので、今年はディフェンスが寄ってきたらアシストを出しますが、自分の得点をもっと伸ばしていきたいです。チームとしては攻守ともに精度を上げることと、コート内でのコミュニケーションをもっと取ることを今年はずっと目標にやってきました。そこをしっかりと出して、最後は圧倒的に勝って優勝したいです。