マレーとヨキッチのバランスアタックを進化させる存在に
アルゼンチン代表の司令塔、ファクンド・カンパッソのNBA挑戦が決まった。昨年オフにレアル・マドリーとの5年契約を結んだ彼は、現在29歳。この契約とともにスペインリーグでキャリアを全うするものと思われたが、今回ナゲッツと2年契約に合意したことを『ESPN』が報じている。
これまでもカンパッソのNBA挑戦の噂は何度も出ていた。直近でもスパーズやマーベリックスがその動向を調査していると報じられている。もっとも、ネックとなったのは年齢であり、もう一つはバスケットボールのスタイルの違いに順応できるかどうか。ワールドカップでアルゼンチン代表をファイナルまで導いたゲームメークは、一人のエースに頼るのではなく誰がコートに立っていても高いレベルのバスケットを遂行すべく、ボールをシェアするスタイル。これに対してNBAではエースにボールを集め、その能力を最大限に生かすもので、スタイルとしては真逆だ。
しかし、ナゲッツならフィットするのではないか。ジャマール・マレーとニコラ・ヨキッチという2人のエースが共存し、どちらかがボールを独占するわけではないバランスの良さは、エースが起点となりフィニッシュまで担う他のチームとは異なる。ヨキッチが止められたらマレーが、マレーのシュートタッチが悪ければヨキッチ、という形が阿吽の呼吸で成り立っていた。それでも昨シーズン後半戦に非凡な得点力を持つマイケル・ポーターJr.が台頭した際、3人でチャンスをシェアする形は完成しなかった。カンパッソが舵取り役になることで、ポーターJr.がステップアップして『ビッグ3』が誕生するかもしれない。
さらに、ナゲッツに欠かせないのがギャリー・ハリス、トーリー・クレッグといったディフェンス能力に長けたサポートキャスト。カンパッソは179cmと身長こそ足りないがフィジカルが強く、彼らのようにハードワークでディフェンスからチームに貢献することもできる。アルゼンチンともスペインとも違うプレースタイルとカルチャーに順応するというハードルはあるものの、ベースとなる実力は十分以上に備えている。
その一方でナゲッツでは先発パワーフォワードのポール・ミルサップと、ヨキッチのバックアップを務めたメイソン・プラムリーが契約満了を迎えた。プラムリーはピストンズとの契約が決まり、ミルサップにも多くのオファーが届いていることだろう。この穴を埋める補強がどう進むのか、こちらにも注目したい。
昨シーズンはジャズ、クリッパーズを1勝3敗からの逆転で破り、カンファレンスファイナルまで進出したナゲッツ。主力は揃って若く、まだまだ成長の余地を残している。ここにカンパッソが加わることでどんな化学変化が起こるのだろうか?