「全員が同じ方向に向けるようになってきました」
アイシン・エィ・ダブリュ ウィングスでプレーする宮下希保など数々のWリーガーを輩出してきた北信越の古豪、県立足羽は、昨年のウインターカップで1回戦負けを喫した。2年生フォワードとしてこの試合にフル出場した久井咲良は、21得点9リバウンドという立派なスタッツを残したが、それでも自らの攻める姿勢が足りなかったと話す。
「去年のウインターカップは、先輩たちに『とにかく思い切ってやってもらいたい』という思いでした。オフェンスリバウンドなどで流れを変える手伝いができている手応えはありましたが、得点に絡むアタックでは先輩たちに頼ってしまう部分が多くて、あまり自分起点で攻められなかったのが反省です」
この悔しさを糧に、久井は今シーズン『自分が攻撃の起点になる』というモットーを掲げ、ボールを持ったら常にリングに向かう意識の徹底を図っている。
持ち味は高確率のジャンプシュートとアウトサイドからの飛び込みリバウンド、そしてドライブだ。
特にドライブは、目標に掲げる宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)を参考に、小中学生の頃から磨いてきた久井の大きな武器。「小中学生はガードだったので、スピードがあって鋭いドライブができる宮崎さんを真似していました。高校でフォワードに転向しましたが、このドライブはフォワードでも絶対に武器になると思ったので、変わらず磨いてきました」
新チーム始動以降は、ドライブからのジャンプシュートがかなり形になってきていると話し、ウインターカップまでの課題として、シュートの決定力とドライブからパスに転じる際の判断力を挙げた。
林慎一郎コーチ曰く、久井は優しくて面倒見の良い先輩。「私の家では、久井を含め15人の部員が下宿生活を送っているんですが、先頭に立って家事や食事の準備をしてくれるんです」と明かした。父は北陸高校男子バスケットボール部を指導する久井茂稔コーチ。幼い頃からハイレベルなバスケットに親しんできた久井を、林コーチは「バスケットをよく知っている選手」とも評した。
県立足羽は2015年以来、ウインターカップで勝ち星を挙げられていない。しかし久井を含めメンバーは、『日本一』という目標を掲げることをやめない。「ウインターカップ予選の前くらいから、学年関係なく全員が同じ方向に向けるようになってきました。でもまだ通過点。本番で自分たちがやってきたことを出せるようにしたいです」と、久井は抱負を語った。