ノビツキーの姿勢に感服して年俸アップを逆提示
マーベリックスの試合ならホームはもちろんロードまで観戦に行き、ベンチのすぐ後ろから声援を送り、時には対戦チームの選手とトラッシュトークを繰り広げることで知られるマーベリックスの熱血オーナー、マーク・キューバン。今夏2年5000万ドル(約50億円)という契約を結んだダーク・ノビツキーとの契約交渉の舞台裏を、彼が『CBS Radio』で明かした。
フリーエージェント選手との交渉解禁後、チームはノビツキー側に連絡して希望条件を聞いたそうだ。キューバンは言う。「思っていたよりも低い金額を提示されたので、こちらは『もう少し払えるけど……』という姿勢で交渉を進めた。そういうやり取りを何度か繰り返し、最終的に折り合いがついたんだ」
マブス残留が濃厚と見られてはいたが、38歳のノビツキーと2年契約を結んだことはサプライズだった。その2年契約についてキューバンはこう説明している。
「2年目をチームオプションという形にして、2年契約を結びたかった。彼の周囲で引退という憶測が飛び交わないようにするためにね。彼は本当にナイスガイだ。街から街、さらに他の街へ移る、という生き方を好まない。それに、ノビツキーに引退の気持ちが全くないにもかかわらず、周りから去就について質問されるのにうんざりしていたんだ」
「2年目をチームオプションにしておけば、もし来年のオフに獲得したい選手が現れて、資金を投じたいとなったら、ノビツキーに納得してもらった上で、その選手獲得に資金を使う。獲得したい選手がいなければ、ダークの年俸に資金を回せばいい。それで何の問題もない」
ノビツキーは、2014年にマブスと3年契約(最終年はプレーヤーオプション)を結んだ際にも、補強資金を捻出できるようにと、希望条件を下回る金額でマブスと契約を結んでいる。その後にチームは、カーメロ・アンソニーやラマーカス・オルドリッジ、デアンドレ・ジョーダンといった大物FA選手の獲得を狙ったが、ことごとく失敗。今オフもマイク・コンリーとハッサン・ホワイトサイドに狙いをつけたが獲得できず、今もエースとして活躍するノビツキーとの契約に回せる資金が残っていた。
実績に見合わない高額な年俸を要求をする選手、代理人が増えている中、ノビツキーはチームから逆に年俸アップを提示される稀有な存在だ。
オフにハリソン・バーンズ、アンドリュー・ボーガットを獲得したとはいえ、即優勝を狙えるほど今の西カンファレンスは甘くない。しかし、チームのためならフレキシブルに年俸額を減額することを厭わないノビツキーのようなフランチャイズプレーヤーがいれば、獲得を希望するFA選手が現れたとしても、資金捻出のためロスターに所属する有力な選手を放出しなくて済む可能性だって出てくる。そういう意味でも、ノビツキーは、真のチームプレーヤーと言える。