
デビン・ブッカー欠場の試合で28得点5アシストの活躍
ケビン・デュラントとブラッドリー・ビールを放出してスーパースター軍団から方針転換したサンズは、結束力の強いチームへと生まれ変わって13勝9敗と予想外の快進撃を見せています。一つひとつのプレーを切り取れば特別な輝きがあるわけではありませんが、全員がサボることなく懸命に走り、目の前のポゼッションに全力を注ぐため、トランジション、オフェンスリバウンドからの得点が多く、スティールではサンダーをもしのぐ10.9でリーグ首位に立っています。
新加入のディロン・ブルックスは相変わらずのハードすぎるディフェンスに加え、トゥルーシューティング56.8%と確率が低いシューティングながら強気に打っていく姿勢を崩さず、そのマインドがチーム全体へ良い影響を与えています。素晴らしいプレーの連続ではなくても、すべてのプレーにエネルギーを注ぐことこそで勝利をもぎ取っています。
ただし、チーム全体に攻守の切り替えの遅さなど怠惰なプレーが目立った昨シーズンも、チームにエネルギーをもたらすことで主力へと成り上がったのがコリン・ギレスピーでした。スーパースターがいなくなった今シーズンは、デビン・ブッカーに次ぐ5.0アシストでオフェンスの起点になるだけでなく、3ポイントシュート成功率44.2%で得点源にもなり、劇的なゲームウィナーを決める勝負強さも持っています。
現地12月1日に行われたレイカーズとの対戦では、ブッカーがケガで離脱するアクシデントの中、ギレスピ―は8本の3ポイントシュートを沈め、28得点5アシスト4リバウンドの活躍でチームに勝利をもたらしました。レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチのレイカーズを、ハードワークとバランスの良さで上回る会心の試合でした。
185cmのギレスピ-はポイントガードではあるものの、ボールを持つことにこだわらず、誰よりも早くコーナーへ走り、そこからディフェンスの死角を突くオフボールムーブでフリーになれるのも特徴です。このプレーでフリーになって3ポイントシュートを決めるだけでなく、チームメートがボールに数多く触れる機会を作っていることも、誰もが活躍するサンズオフェンスの基盤になっています。
加えてディフェンスでもミスマッチを怖がらず、ドンチッチに積極的にマッチアップし、フィジカルとハンドチェックでプレッシャーを掛けながら、シュートに対してはファウルしない駆け引きを繰り返しました。リーグ2位の平均28.5本のフリースローを打っているレイカーズに15本しか与えなかったのは、サンズ勝利の隠れたキーポイントでした。
サイズはなくても反応の早さと運動量でリバウンドを奪っていくのもギレスピーの特徴です。この試合では188cmのジャマリー・ブイヤと併用されつつ、サイズ差を感じさせないリバウンドにより、平面での激しいディフェンスを強調していきました。
第4クォーターになるとレイカーズが3ポイントシュートで追い上げを図りますが、即座にギレスピーが3ポイントシュートを決め返し、さらにディフェンスの隙を突いてのドライブと、勝負どころで反撃の芽を摘むプレーも見事でした。結局、レイカーズはギレスピーの8本目の3ポイントシュートが決まったところで試合をあきらめることになりました。
ギレスピーの素晴らしさは、プレーの一つひとつが個人の輝きではなくチームとしての機能性に繋がっていることです。ブルックスのマインドがチームに伝染しているように、ギレスピーの運動量とインテリジェンスもサンズのチームとしての特徴になっています。ドラフト外から這い上がった3年目の26歳。遅咲きながらサンズの中心選手として素晴らしいパフォーマンスを見せています。