ブラッドリー・ビールのトレードが『全員がメリットを見いだした上で』今オフに成立する可能性はあるのか?

ブラッドリー・ビールのトレードが『全員がメリットを見いだした上で』今オフに成立する可能性はあるのか?

2020/11/05
ブラッドリー・ビール

いまさらエースをトレードする理由がウィザーズにない

サラリーキャップが決まらず、ドラフトまで日程が空く上に、フリーエージェントは交渉解禁日すらも確定していない中でトレードの『噂』だけが出てくる退屈なオフになりました。その噂も「ブラッドリー・ビールは……」が連発され、辟易します。実際にビールが動く可能性はどの程度あるか、ウィザーズの目線になって考えてみましょう。

時に声を荒げてフロントを批判するビールですが、トレード希望を公言するような選手ではなく、チームに不満はあれどもウィザーズを勝たせようと奮闘しています。プレーオフに進める可能性が低い中でも平均得点を伸ばしており、競争心を失わない姿勢は高く評価しなければいけません。

ディフェンス面には問題がありますが、それはビール以上にチーム全体の問題です。フロントやコーチ陣が問題解決に強いエネルギーを注いでいない状況では、ビールが個人としてディフェンス面を伸ばすことを期待する方が酷です。一方でチーム全体にハードワークを波及させるリーダーシップという点でビール自身が物足りないのも事実です。

総じて実力だけでなく勝利に尽くす姿勢を考えると、ビールをウィザーズが手放すのは損失の方が大きそうです。仮に若手有望株とトレードしても、チームにとっての特効薬にはなり得ません。ウィザーズが組織としてディフェンスを優先する方針に切り替えない限りはトレードに価値を見いだすことはできないでしょう。このチームは勝てなくてもヘッドコーチを解任せず、オフェンス主体の戦い方にも手を付けず『決断しないことで有名』なだけに、方針転換するとは思えません。

また、ここ数年サラリー総額に困っていたウィザーズですが、ビールとジョン・ウォール以外の高額契約がなくなりスッキリし、むしろ補強に動きやすくなっています。ビール本人が強く望むか、よほど魅力的なオファーが届かない限りは、ウィザーズがトレードに動くメリットはなさそうです。再建に切り替えるならば、ウォールのいない時期に打って出るべきだったことも含めて、トレードは妄想でしかない気がします。

では『魅力的なオファー』があるとしたら、それはどんなものでしょうか?

平均30得点のビールに匹敵する選手となれば限られてくる上に、そんな選手をトレードに出したいチームはありません。必然的に複数の若手とドラフト指名権になりますが、ウィザーズには八村塁を含めて期待の若手がいるだけに、人数が増えすぎても困ります。2人か3人くらいに絞ることとなり、やはり簡単ではありません。

また、エースを出すからには弱点も補えるトレードであることが好ましく、ディフェンス面でも貢献できる選手が欲しくなります。そこまで考えてオファーを出せそうなのはキャリス・ルバートとジャレット・アレンにドラフト指名権を付けられるネッツあたりになりますが、ビールを欲しがるのか微妙です。いずれにしても1年前にアンソニー・デイビスのトレードでペリカンズが手に入れたような複数の有望株を提示されない限りは、ウィザーズが簡単に動くことはないでしょう。

トレーニングキャンプの開始時期も決まっていないものの、SNSではウォールがプレーする姿も流れてきており、復帰は問題なさそうです。トレードの噂が多いのはそれだけビールの実力が評価されているということでもあります。本人はウィザーズを勝たせる気持ちが強いだけに、ウォールとビールの『2枚看板』が揃うシーズンを全力で勝ちに行くことに集中すべきでしょう。中途半端な若返りをするのではなく、退路を断った積極的な補強こそが、このオフにウィザーズがやるべきことです。

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