前田ヘッドコーチも絶賛「チャレンジしてくれているのが見えてうれしい」
秋田ノーザンハピネッツは横浜ビー・コルセアーズを迎えたホームゲームで連勝し、これで6勝3敗となった。
第1戦は70-68で秋田が接戦を制した。第2戦も前半は得点が伸びず重い展開になったが、後半になるとディフェンスから走るバスケットを展開して主導権を握った秋田が68-48で完勝した。
3連敗を喫していた中で迎えた今節は、先発ポイントガードに伊藤駿を据えた。伊藤にとっては今シーズン初の先発出場だったが、連敗に終止符を打つことができ「とりあえずチームを勝たせられたのが一番うれしいです」と安堵の表情を見せた。
伊藤は第2戦で5得点3リバウンド4アシストを記録したが、その貢献はスタッツ以上のものだった。第1クォーターで秋田は8得点しか取れず重いオフェンスが続いたが、その流れを打ち切ったのが伊藤だ。
「第1クォーターの入りのオフェンスが重くなったので、後半は同じ入りにならないように意識的にアップテンポに持っていきました。他には空いたら打つこと、仕掛けることを意識しました」と伊藤が言うように、後半はディフェンスリバウンドからのトランジションなどで序盤から速いバスケットを展開し、チームを牽引した。
前田顕蔵ヘッドコーチも積極的な伊藤のプレーを称えた。「伊藤選手の強みはコントロールであって、ゲームを落ち着かせること。ただ、今シーズンは『日本人選手が攻めるんだよ』と話している中で、今日みたいに自分でシュートを決めきってくれたり、トランジションで果敢に攻めてくれるのを見ると、彼自身もチャレンジしてくれているのが見えて僕もうれしいですし、チームに必要だと思っています」
「チームとしてもまだ進化している段階」
前田ヘッドコーチが言うように、今シーズンの秋田は日本人選手が得点を取るバスケットを掲げている。伊藤は司令塔として、その新しいバスケットスタイルの楽しさと難しさの両面を感じている。
「昨シーズンから一番変わったところは速い展開に持っていくところです。そこでどうアタックするのか、どういうシチュエーションを作るのかという部分は、チームとしてもまだ進化している段階なので行き詰った時は難しさがあります。それでもシュートに関しては躊躇しなくて良いと言われているので、日本人選手全員がアタックすることやシュートを打つ意識があるのでやっていて楽しいです」
『躊躇せずにプレーする』というスタイルは、若手の成長にも繋がっている。秋田にとって若手の成長は不可欠。ただ、まだ粗削りな面も多く、この試合では伊藤や古川孝敏のベテラン組が勝負どころを抑えて落ち着きを与えつつ、チームに勢いをもたらした。
伊藤は「若い選手は積極的にやっていけばいいと思います」と見守るが、その言葉の裏にはキャリア9年目としての心構えがあるからだ。「若手が気持ち良くプレーして、そこで少しミスをしても尻拭いじゃないですけど、僕たちが控えているので思い切ってプレーしてほしいと思っています」
勢いがある若手とゲームをコントロールできるベテランのバランスの良さも秋田の魅力の一つだ。伊藤が「まだ進化している段階」というように、自分たちのスタイルを貫き、チームとして成長する姿に期待したい。
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