12分間のプレーで14得点6アシスト4ファウル
物怖じしない若手のアグレッシブなプレーはチームに勢いをもたらすが、それだけでは優勝を争う真の強豪にはなり得ない。強いチームには自分の役割を全うできるロールプレーヤーやベテランの存在が不可欠だ。名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第2戦で見せた千葉ジェッツの西村文男のプレーはまさにそれを体現していた。
西村は12分間のプレータイムで14得点6アシストと完璧なパフォーマンスを披露し、95-72と快勝した試合に大きく貢献した。数字だけを見ても、彼の貢献度が際立っていることが分かるが、注目すべきはファウルとプレータイムの因果関係だ。西村は12分間のプレータイムながら4つの個人ファウルを犯したが、そのほとんどが速攻を止めるためのモノだった。
「一つのプレーで流れを持っていかれる可能性があったり、簡単に2点を取られるくらいであれば、フリースローにならない程度で自分がファウルをして止めるくらいの気持ちは持っています。今日も何度か向こうの速攻に対してファウルをしているんですけど、自分の中ではナイスファウルだと判断しています」
また、西村は強力なインサイド陣を最大限に活用するためにも、自らがファウルトラブルになることを厭わずに率先してファウルをしていると言う。「特に先週に多かったのですが、インサイドの選手のファウルがかさみやすいという欠点がウチにはあります。ファウルがかさんでいないペリメーター陣がファウルで止めることを大事にしないといけないと思っていたので、それができたので自分への評価は高いです」
特に調子が良い時であればあるほど、無用なファウルを避けて自分のプレーに集中したいと思うのが選手としての性だろう。だが、西村は常にチーム全体の調子を見極めながら自身のプレーを選択している。それはチームメートへの信頼があってこそ成り立つものだ。
「見て分かる通り(富樫)勇樹もフジ(藤永佳昭)も、調子も良いですし、自信もついてきています。自分が長いこと出る必要がないわけではないんですけど、僕のファウルがかさんで代わったとしても、同じ流れでゲームを組み立ててくれるはずです。チーム全体の調子を見てなんですけど、信頼があるからこそ僕はそういうプレーを選びます」
キャリア12シーズン目、千葉では最古参となる7シーズン目を迎えた西村。もともとはスコアリングガードとしてならしたが、「自分が30分以上出て、チームを勝たせるようなプレーヤーではないと自覚している」と言い、主役の座は他の選手に譲った。キャリアを重ね求められる役割は変わったが、千葉における彼の存在感が色褪せることはない。
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