タロン・ルー

写真=Getty Images

「今の自分があるのも、レブロンのおかげ」

ちょうど1週間前、レブロン・ジェームズのレイカーズ移籍が決まった。地元の英雄の決断に理解を示しつつ、心に大きな穴が空いたと感じているクリーブランドのファンは少なくない。

だが、キャバリアーズはそうも言っていられない。『ポスト・レブロン時代』に備えるべく、ヘッドコーチのタロン・ルーは、ラスベガスで開催されているサマーリーグで新人、フリーエージェントとして参加している選手のプレーに注目し、その実力を推し量っている。

そんな中、ルーは、来シーズンからレブロンを指導するレイカーズ指揮官のルーク・ウォルトンに会い、同選手の性格、思考、傾向などについて伝えるつもりだと『ESPN』が伝えている。共通の友人であり、現在はレイカーズでアソシエイト・ヘッドコーチを務めるブライアン・ショーが間に入り、ルーとウォルトンは朝食をともにする予定を立てているそうだ。

ルーは『ESPN』に、「ルークには、ブロン(レブロンの愛称)がメディアで伝えられているような人間ではないことを伝えたい」と言う。「彼がヘッドコーチや球団にとって厄介な存在という話はデタラメ。何よりもそれをルークに伝えたいんだ」

キャブズがデイビッド・ブラットを2015-16シーズン途中に解任したことにより、アシスタントコーチから急遽ヘッドコーチに昇格したルーは、就任直後、チームのリーダーであるレブロンと2人で話し合い、それからの方針を固めていった。だが、まず最初に頼ったのは、2010年から4年間ヒートでレブロンを指導したエリック・スポールストラだったという。

ルーは当時について「スポ(スポールストラの愛称)は、ブロンが好むこと、彼が優れていることについて教えてくれた。非常に役に立つ意見だった。彼と4年間一緒に戦い、優勝を経験したヘッドコーチからの貴重な意見だった。ブロンを特定の状況でどういう形で起用したかも含めて、私にとって重要な話だった」と振り返っている。

ルーによれば、レブロンは一緒に仕事に取り組む人間に対して高い期待を持って接するという。そして最初のアプローチが上手くいかなければ、レブロンと対話し、その上で納得させる必要があるともルーは言う。

ルーは、レブロンにとってキャブズでのラストイヤーとなった昨シーズン中に体調を崩し、一時期チームを離れた。その時期、レブロンは戦列を離れたルーを気にかけ、チームにとって重要な存在とメディアの前でコメント。これまで2人は試合中もベンチで意見をぶつけ合ってきたが、強い信頼関係を築けていた証拠だった。

ルーは、ウォルトンに史上最高の選手の一人を指導できる機会をポジティブに受け止めるべきと伝えるつもりと話す。

「レブロンは、周囲の全員を助け、力を引き出してくれる選手だ。家族、友人、球団、コーチングスタッフ、選手を含め、周りにいる全ての人間を助けて、成長させてきた。NBAキャリア15年の間、彼の周りにいた人間は、レブロンのおかげで成長できた。今の私があるのも、彼のおかげだ」

ルーから渡されるバトンを上手く扱えるかどうか。それはすべて、レイカーズ指揮官のウォルトンにかかっている。