予選リーグで大敗した相手を完璧な試合運びで撃破

イランのテヘランで開催されている「第24回FIBA ASIA U-18男子バスケットボール選手権大会」。グループリーグを3勝2敗の3位で突破した日本代表は、29日に行われた準々決勝でチャイニーズ・タイペイと対戦。リードしながら最終盤に相手の猛攻を浴びる苦しい展開にはなったが、それでも要所でしっかりとゲームをコントロールして勝ち切った。

そして30日、準決勝の相手はレバノン。グループリーグで対戦した際にはインサイドで高さの不利を覆せず、シュート成功率でもリバウンドでも圧倒されて51-73と大敗した相手だ。だが、それから4日の間に日本代表は大きな成長を遂げていた。

立ち上がりこそレバノンのパワーと高さに押され、開始2分と経たず2-8とリードを許すも、ここでタイムアウトを取って戦術を確認。三上侑希、伊藤領、三森啓右、増田啓介、西田優大の5人が激しいディフェンスと足を使ったオフェンスでレバノンに食らい付き、杉本天昇の両チーム通じて初の3ポイントシュートも決まって12-12の同点まで押し返す。

その後はセカンドユニットが支えられず、14-22とビハインドを背負って第1ピリオドを終えるも、続く第2ピリオドから若き「AKATSUKI FIVE」は歯車ががっちりと噛み合い、攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せ始める。

3分半に渡り両チーム無得点の均衡を三上が3ポイントシュートで破ると、そのまま10-3のランで24-25と1点差まで詰め寄る。レバノンの3ポイントシュートで突き放されるも、すぐに西田がタフショットの3ポイントを沈めてお返し。レバノンが再び狙った3ポイントシュートが外れると一気の逆襲から杉本がトップスピードでのレイアップを決めて29-28と初のリードを奪う。数分前までの重苦しい展開とは一転しての乱打戦、最後は杉本が難しいジャンプショットを沈め、36-33とリードして前半を終えた。

こうなると後半も日本のペース。増田、三上、西田が高確率でシュートを決め、じわじわとリードを広げていく。立ち上がりから5分がかりで9-2のラン。その後にテンポが上がるも、打ち合いでもレバノンを上回り、今度はベンチメンバーも持ち味を発揮して相手に主導権を渡さない。

手と足を頭をフル活用してレバノンの長所を封じ込めた

55-44と2桁リードで迎えた第4ピリオド。レバノンにオフェンスリバウンドを2度取られる苦しい展開をしのいで攻撃に転じると、増田がドライブで一人を抜き去り、カバーに入ったもう一人にファウルされながらもレイアップを沈めるビッグプレーを見せる。その後は総力戦で、メンバーを入れ替えながらリードを守り切る戦いに。

高さから来るリバウンドの不利は続くも、手と足を頭をフル活用して相手に容易な攻め手を与えず、ミスを誘ってレバノンに流れを作らせない。残り5分15秒、三上がラインの1メートル手前から3ポイントシュートを決めて66-52。3分37秒には増田のジャンプシュートがこぼれたところを三森がティップインで沈めて68-54、このプレーにはヘッドコーチのトーステン・ロイブルも派手なガッツポーズを見せた。

点差が広がり、レバノンは力押しで攻めてくるも、焦りからプレーの精度が落ちてくる。日本代表はこの隙を逃さず、オフェンスリバウンドを3連続で三森が拾って自分たちのポゼッションのまま時計を進めつつ、最後は西田が相手の寄せをモノともせず3ポイントシュートを沈め、これで勝負アリ。最終スコアは75-59。勝利が決まった瞬間は、全選手がコート中央で体をぶつけ合って喜びを表現した。

ゲームハイの29得点をマークした増田は、チャイニーズ・タイペイ戦の17得点をさらに上回る爆発ぶり。フィールドゴール率(16本中9本の56.2%)も高かったが、パワーのあるレバノン相手に一歩も引かず、結果的に16本のフリースローをもぎ取った(うち11本成功)ことで得点を伸ばした。西田は増田に続く18得点を挙げている。

また、三上は攻守のバランスを取りつつ要所で得点を決め、さらにはターンオーバーを記録せず。そして三森は12リバウンド(うちオフェンスリバウンド8)と、高さのあるレバノン相手にしっかりとファイトして結果を出した。

この大会での日本の決勝進出は実に1990年(日本・名古屋大会)以来26年ぶり。そしてこの大会の上位3チームに与えられる、来年の「FIBA U-19世界選手権」の出場権を日本は確保したことになる。

この後にイランと韓国が戦った準決勝のもう一試合は87-65でイランが勝利。日本時間で明日の22時半から、日本vsイランの決勝が行われる。

Japan are off to the #FIBAU18Asia Final!! ????????

FIBAさん(@fiba)が投稿した写真 –