レブロンへの絶大な信頼「バスケ史上最高の選手だ」
レイカーズの指揮官、フランク・ボーゲルは就任1年目でNBA優勝を果たした。決まってみれば順当に思えるが、彼の就任が決まった昨年5月の時点では、レイカーズはレブロン・ジェームズを擁しながらもプレーオフ進出を逃したチームだった。就任会見の数時間前に、球団社長を辞任したばかりのマジック・ジョンソンがフロントの内の確執を暴露しており、ボーゲルの挑戦は波乱のスタートとなった。その後にアンソニー・デイビスの獲得を決めてオフの主役にはなったが、予想されていたもう一人の大物フリーエージェントの獲得は果たせず、開幕後も主役であり続けるかどうかは誰も確信を持てていなかった。
それでもボーゲルは、クリッパーズの開幕戦を落とした以外は快調に勝ち星を積み上げながら、自身の得意とする堅固なディフェンスをチームに植え付けていった。優勝を決めた会見で指揮官は、「初戦を落とした後は17勝1敗で、特別なことを成し遂げられると感じ始めた。そしてリーグ中断前の週末、バックスとクリッパーズに連勝して自信は確信に変わった」と振り返っている。
ボーゲルはレブロン・ジェームズに圧倒的な信頼を寄せていた。ペイサーズ時代の彼は3度も、レブロンのいるヒートに敗退に追いやられている。口には出さないまでも何度も「レブロンがいれば」と思ったことだろう。
「レブロン・ジェームズがいる時点で私の中で成功への疑念はなかった。コーチを引き受けると決めた時点でデイビスはいなかったし、チームは出来上がっておらず、結果的にその時に思っていたのとは違うチームになったが、私の中でレブロンへの信頼は揺らがなかった。レブロンはバスケ史上最高の選手だ。そんなことは分かっているよ、とみんな思うだろうけど、違うんだ。彼と毎日会って、指示を出し、彼がどう考えてどう修正して、チームを引っ張ってきたかを見ないと分からない。彼のコーチを務めることができたのは素晴らしい経験だ。シーズンを通じてリーダーシップを発揮し、約束の地へとチームを導いてくれた」
レブロンがいかに特別か感じる機会は、毎日いくらでもあったとボーゲルは言う。「試合映像を確認している時、チームについて議論している時、練習や試合の前に会話する時……。並外れた決断力がある彼の考えを利用して、チームがどこに進むべきか一緒に議論しながらやってきた。試合映像をチームで確認するたびに、彼は率先してチームを良くしようとする姿勢を見せてくれた」
そうやってシーズンを通して高めていったのが、今のレイカーズだ。「このチームの精神的なタフさ、経験を信頼してきた」とボーゲルは言う。
「レブロンだけでなくデイビスも勝者になる運命を背負っている。2人のおかげでここまでたどり着けた。ラジョン・ロンドやダニー・グリーン、ジャベール・マギーは経験豊富でバスケIQも高い。他の選手もそれぞれの役割を受け入れた。『バブル』に来て毎日やるべきことに集中した。トレイルブレイザーズに勝ったことで一気に自信が高まった。彼らは世界一好調なチームだったからね。シリーズを戦うごとに、我々は自信をつけ、強くなっていったんだ」
ボーゲルもまた、過小評価を覆してリスペクトを勝ち取った。就任が決まった時、彼の地味な守備戦術で優勝を狙えるのか、スター選手を従わせられるのか、という疑念はあったが、彼はそんな疑念を吹き飛ばした。堂々の優勝ヘッドコーチだ。