西山達哉

過去、B1に昇格したチームはことごとく苦戦を強いられてきた。『B2とB1の違い』としてよく語られるのはディフェンスの激しさ。信州ブレイブウォリアーズの開幕戦の相手は秋田ノーザンハピネッツで、その激しいプレッシャーディフェンスには大いに手を焼いて、連敗を喫してしまった。だが、全く打開できず55-80で敗れた第1戦から、終盤まで競った末に76-80で敗れた第2戦では、その内容に大きな向上が見られた。『日々成長』をテーマに掲げる信州のポイントガード、西山達哉に手応えを聞いた。

「B1でやれると思っていなかった部分があった」

──信州にとっては記念すべきB1デビュー、また西山選手にとってもB1デビューの試合でした。手応えはいかがでしたか?

やる前は自分でも「B1でやれるのかな」と不安な部分は正直あったんですけど、やってみて戦える部分は見えたし、まだ1節ですけど良い経験ができたし、自信にも繋がりました。

──第1戦では秋田のプレッシャーディフェンスに大苦戦しましたが、2試合目できっちりアジャストできた印象です。

秋田のディフェンスを想定して練習をやっていたんですけど、練習では秋田ほどのレベルでやれていませんでした。練習を上回る相手のディフェンスに焦ってしまいました。激しく来るとは想定していても、本当にそれを上回ってきた。それは体験してみて分かることでした。2試合目はビデオミーティングでダメな部分を指摘されて、一つひとつどこが問題なのかを振り返って、冷静に見られるようになったのが大きいです。

──西山選手は特に、相手のダブルチームをかわして数的優位を作ったり、1対1で勝負して抜いたり、秋田のディフェンスを崩すカギになりました。不安を払拭できた試合になったのではないかと思います。

そうですね、自信を得る意味では本当に大きい試合でした。ああいう激しいディフェンスに個人で対応できたのもありますし、その中でアタックして得点もアシストもできたのは自信になりました。

──逆に言うと、個の力でクリエイトできて2桁得点できるのに32歳までB1デビューが遅れました。西山選手を取るB1のチームがいなくて、自分で昇格させてようやくB1デビューです。172cmだと評価されないとか、そういう部分に反骨心はありますか?

うーん……正直あまりないですね。B1でやれると思っていなかった部分があって、去年に信州に入ってちょっとずつ意識し始めた感じなので、「B1に行きたいな」という気持ちはありましたけど「見てろよ」みたいな気持ちはなかったです。ずっとB2でやっていて、B1のチームはB2を見ていないイメージだったので、特に気にしていませんでした。これでやっとB1の舞台に立てた、という気持ちはあるし、これで個人的に評価されることもあるかもしれないですけど、それよりチームの結果を求めてやっていきたいです。

身長については不安はないです。ずっとこの身長でやっていますし。ミスマッチとかありますけど、そこはチームで助け合いながらやっていますし、他のチームでもこの身長でやれている選手はいるので、自分でもできなくはないと思っています。

西山達哉

「先週の試合で1勝の重みは感じさせられました」

──2試合目は長くリードしていて、B1初勝利まであと少しでした。勝つにはあと何が足りなかったのでしょうか。

終盤でのターンオーバーが大きいと思います。2試合目は自信になりましたけど、僕もターンオーバーが5つあったし、チーム全体でターンオーバーは減らしていかないといけない。もう少し冷静にやっていきたいです。

ただ、2日目の試合が終わった後にコーチから指摘されたのは終盤だけじゃなく40分を通してのリバウンドだったり、フィフティフィフティボールの執着心でした。やっぱりそこは練習から習慣づけてやっていかないといけない部分です。練習でできないことは試合でもできないし、ガード陣も常にリバウンドを意識して、リバウンドに飛び込むことが大事です。

──ただ、セーフティを考えればガード陣までなかなかリバウンドに行けないですよね。

オフェンスリバウンドだったらセーフティを残しつつ、他の選手がちょっとでも絡みながら戻るみたいな、そういうリバウンドのやり方もあります。ただ単に戻るだけじゃなく絡んで戻ることも大事ですね。ディフェンスリバウンドは特にインサイドがやられている時にはガード陣も助けに行く、大きい選手と張り合っていくことです。見てるだけじゃなく絡んでいかないといけないです。

──ようやくB1で戦うチャンスを得ました。何を目標にして、どんな結果を残したいですか?

チームとしては日本一を目指してやっています。今はこういう状況で外国籍選手が揃っていないのですが、そういうことを言い訳にせず、しっかり今のメンバーで結果を残せるように一戦一戦を戦いたいです。先週の試合で1勝の重みは感じさせられました。一つでも多く勝てるように、今いるメンバーでしっかり戦いたいです。

個人的な目標はあまり考えていなくて、チームが勝つことを最優先してやりたいですけど、昨シーズンは平均2桁得点だったので、B1でもそこは何とか行きたいと思います。自分は攻めれるポイントガードであることが強みなので、そこは出して行きたいです。

──B1に上がったことで周囲の反応や期待が変わったことは感じますか?

僕の周りでは特にないのですが、ブースターさんからは「良い試合ができたからB1でも行ける」という声が聞こえてきます。でも、良い試合をしても勝ち切らないといけないし、まずは1勝しないと応援してくれるファンの皆さんに申し訳ないので、次節でまずは1勝を挙げたいです。