ジャマール・マレー

ヨキッチ&マレーを軸に、優勝を目指した新たなチーム作りを

ナゲッツのジャマール・マレーは、オーランドで再開した2019-20シーズンのシーディングゲームとプレーオフで大きな存在感を発揮した。以前のマレーはパフォーマンスにムラがあったが、『バブル』では平均26.5得点、6.6アシスト、4.8アシストを記録。プレーオフのオールスターがあれば間違いなくファーストチームに選出されるだろう。

ナゲッツには絶対的なエース、ニコラ・ヨキッチがいる。ヨキッチは味方のプレーを引き出すことができる稀有な選手であり、毎シーズンで着実に成長を続けてきた。ヨキッチとマレーの一番の違いはプレーの安定感だったが、マレーが『バブル』で見せたパフォーマンスを今後も続けることができれば、ナゲッツは一気に優勝候補チームになる。

マレーはクラッチタイムのスコアラーとしてリーグトップクラスの選手に成長し、試合の終盤で得点が必要な時に、これまでのようにヨキッチにボールが集まることがなくなった。マレーが成長したことでナゲッツは2人のエースを手に入れたが、優勝を狙えるチームになるにはサポーティングキャストが必要だ。ナゲッツはこのオフシーズンに8選手がフリーエージェントになるが、特に優先されるのがジェレミー・グラントとの契約だ。サラリーキャップにはまだ余裕があるが、成長著しいグラントとの再契約に使うのが最も合理的だろう。

ロスターの残りの選手で特に飛躍が期待されるのがマイケル・ポーターJr.とボル・ボルだ。ポーターJr.のスコアラーとしてのポテンシャルの高さは『バブル』で実証済み。今オフにはケガに強い身体作りを引き続き進めるとともに、NBAのディフェンスの基礎を身体に叩き込ませる必要がある。ボールを持ちたがる傾向が強いが、マレーと共存できるプレースタイルを身に着けることも大事だ。ケガがなければ近い将来チームのリーディングスコアラーになるかもしれない逸材だけに、今オフの個人トレーニングでのさらなる成長に期待したい。

ボル・ボルはトラディショナルなセンターではないがスペースを生み出せる選手。もっとも、シーディングゲームではそのポテンシャルを発揮したが、プレーオフでは出番なし。強度の高い『真剣勝負』でどれだけ戦えるか。持ち味を発揮するだけでなく、弱点を突かれないためのプレーを学ぶ必要がある。

マレー、グラント、ポーターJr.、ヨキッチ、ボルのラインナップはディフェンスには不安があるが対戦相手にとっては危険なチームになる。ただ、これだけで勝てないのは今シーズンのプレーオフで明確になった。ナゲッツがNBA優勝を狙えるチームになるために、今後どのような編成を行うのか注目が集まる。

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