『接戦を勝つ』底力を取り戻しての快勝
10月3日、シーホース三河が敵地に乗り込んでサンロッカーズ渋谷とシーズン開幕戦で激突。終盤までもつれる接戦となったが、ここ一番でダバンテ・ガードナーが攻守に奮闘すると、柏木真介の円熟のゲームコントロールが光った三河が82−78で競り勝った。
第1クォーター、18得点を挙げた川村卓也が開始2分で9得点を稼ぎ、セドリック・シモンズが4オフェンスリバウンドとセカンドチャンスから加点した三河が26-18と先手を取る。しかし、第2クォーターに入ると、SR渋谷は持ち味である前から激しく当たる守備でリズムをつかんで反撃を開始。エースのライアン・ケリーがこのクォーターだけで11得点を挙げてチームを牽引すると、前半終了と同時に山内盛久が3ポイントシュートを沈め、SR渋谷が45-41と逆転した。
両チームともディフェンスの強度を上げることで一進一退の攻防が続いた第4クォーター残り2分、三河はガードナーの得点で5点リードを奪うが、ここからSR渋谷も石井講祐の3ポイントシュート、さらにチャールズ・ジャクソンの得点で、残り1分8秒で76-76と追いつく。
しかし、ここから三河はガードナーが得意のパワーを生かしたインサイドアタックでシュートをねじ込み残り25秒で80-78とリードを奪い、直後の守りではベンドラメ礼生がゴール下にドライブし、そこからキックアウトしようとしたパスを手で弾く値千金のスティールに成功。ここからファウルゲームで柏木がフリースローを2本しっかり決め、三河が開幕戦を勝利で飾った。
三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「入り方は良かったですが、第2クォーターは相手のディフェンスに引っかかり相手にペースを与えてしまいました。そこから第3クォーターに我慢し、第4クォーターにしっかりいいディフエンスができました」と総括する。
昨シーズンの三河は、この日のような接戦に弱さを見せていた。それが今シーズンは、強豪のSR渋谷相手にいきなり競り勝った。指揮官は、接戦での我慢比べで崩れなかった理由として、3年ぶりに戻ってきた柏木の存在を挙げる。
「もともと三河は接戦に強いことで勝率が高く、プレーオフでも接戦を勝つのを得意としていました。それが昨シーズンは、ガード陣がリーグでも一番若いメンバーで、能力はあっても経験が足りなかったです。柏木選手は僕と一緒に長くやっていて、僕の言うことにすぐ反応してくれる。接戦において、何をしなければいけないのかを経験でしっかり分かっています。金丸(晃輔)選手がふくらはぎの調子が良くないこともあって、最後は2ガードにして彼がしっかり指示してゲームをクローズしてくれたと思います」
3年ぶりに復帰した柏木真介、接戦で光った司令塔の力
また、川村も「柏木さんはバスケIQが高い選手。第4クォーターは彼がしっかりゲームメークすることでチームは安定しました。メンタル、プレーの部分でチームにしっかりとした柱が来てくれた印象です」と百戦錬磨のベテランに絶大な信頼を寄せる。
「今シーズンはガード陣の育成を重点に考えています。彼には若手に経験を教えてもらいたい」と鈴木ヘッドコーチが語るように、柏木は若手の教育係としても大きな期待を寄せられるが、まずはシーズン開幕戦で司令塔としての健在ぶりをしっかり示した。
一方、敗れたSR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは、「プレシーズンからの課題である出だしが悪く、エナジーの低い時間帯が相当ありました。自分たちのペースでできたのは第2クォーターだけでした」と振り返り、敗因をこう続ける。
「やはり出だしに加え、去年からの課題でもあるディフェンスリバウンドです。それが響きました。最後、クロスゲームになっただけで、そこをしっかりやらないと勝てないです」
また、ベンドラメ礼生も出だしの悪さについては次のように反省し、立て直しを誓っている。「最初、相手の様子を見ている感じがありました。相手がどんなプレイをやってくるのは分からない状態で、自分たちでプレッシャーをかけて流れを作るのは難しいです。ただ、そこでしっかりディフェンスから相手を自分たちのペースに誘い込んでいくのは今後も大事になってきます」
第2戦は今日の14時5分にティップオフ。次週には強豪、千葉ジェッツとの戦いが控えることもあり、SR渋谷にとっては連敗スタートを何としても避けたい、いきなりの踏ん張りどころだ。
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