移籍先はシクサーズ、ニックス、ピストンズ?
ロケッツに加入したラッセル・ウェストブルックの1年目は、浮き沈みの激しいシーズンとなった。
オフシーズンに受けた2度の手術が原因で夏に十分なトレーニングをすることができず、ここにキャリア初の移籍が重なったことで、シーズン序盤は安定感を欠いた。それでも、1月と2月には平均30得点以上を記録するなど、チームにフィットしたシーズン中盤は存在感を示している。だが、ウェストブルックが本来の実力を発揮し始めたタイミングで、リーグは中断となってしまった。
そして、リーグ再開後のウェストブルックは本調子を取り戻すことなくシーズンを終えている。新型コロナウイルスに感染して『バブル』入りが遅れたことはパフォーマンスに少なからず影響を与えた。結局、ジェームズ・ハーデンとのバックコートデュオは、期待外れに終わった。
チームは結果を残せず、ヘッドコーチのマイク・ダントーニがチームを離れることに。チーム再編を進めていく中で、ウェストブルックの放出もあり得る。その場合、トレード先に挙がる候補はセブンティシクサーズ、ニックス、ピストンズだ。シクサーズはジョエル・エンビードとベン・シモンズの若いデュオが中心だが、こちらもチーム再編のタイミングにある。エンビードかシモンズがトレードを希望した場合はロケッツも獲得に参戦するだろう。
ニックスは、かねてからウェストブルック獲得に興味を持っていると噂されてきたが、実際にどの選手をトレード要員にできるのかは疑問だ。トレードの実現にはミッチェル・ロビンソンと複数の1巡目指名権が妥当だろう。ピストンズであればブレイク・グリフィンとのトレードが一番現実的で、他の2チームと比べると、ピストンズとのトレードが最も『win-win』な関係になりそうだ。
もちろん、ウェストブルックを残し、ハーデンとのデュオを中心としてチームを再編するという選択肢もある。2人はサンダー時代に一緒にプレーしていたが、ロケッツでの立場は違い、チームの絶対的なエースはハーデンだ。ウェストブルックがセカンドオプションとしての役割を深く理解し、互いの良さをさらに引き出すことができれば、昨シーズン以上の結果を残すこともあるだろう。
また、ウェストブルックが批判をモチベーションにして成長できるタイプの選手だという点も見逃せない。プレーオフのレイカーズ戦では、マークを捨てられているにもかかわらず3ポイントシュートを外し、敗退の大きな要因となった。不屈の闘志を持つウェストブルックにとっては、トレードの噂が出ていることもモチベーションの一つとなる。
ロケッツがウェストブルックを残すのか、それとも放出するかは現時点では分かっていない。スモールボール戦術を推し進めてきた指揮官のマイク・ダントーニもチームを去った今、新ヘッドコーチの人選を含めたオフシーズンの動きに注目が集まる。