マイケル・ポーターJr.

マレー&ヨキッチに偏重するシステムに不満?

ナゲッツはクリッパーズとの第4戦に85-96の完敗を喫した。カワイ・レナードを中心とするディフェンスにパスワークを分断され、得点源のニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーが攻めるスペースを見いだせなかった。前半はベンチから出た2年目のマイケル・ポーターJr.が『第3の男』としてアグレッシブに攻めることで15得点を積み上げ、後半開始早々に一度はナゲッツが同点に追い付いている。だが、その後に突き放されると二度目の反撃は起こせず、超ロースコアの展開のまま敗れた。

試合後の会見で指揮官のマイケル・マローンは「ロッカールームではみんなフラストレーションを溜めていた」と語った。その後に会見場に姿を見せたヨキッチは意気消沈しており、そしてポーターJr.は淡々と憤りを語った。

この試合でのポーターJr.は前半に15得点を挙げて追い上げムードを作り出したが、後半は無得点に終わっている。この失速について問われると「ボールに触れていないからだ。相手のディフェンスに抑えられたわけじゃない」と不機嫌そうに答えた。

「誰にボールを託すか、そのプレーを決めるのはコーチだ。ウチはヨキッチとマレーに託し続けていた。素晴らしい選手だから怒りはしない。でも、クリッパーズに勝つにはもっと多くの選手がプレーにかかわり、もっとボールを動かさないといけない。多分コーチには言うよ。ウチにはバスケットができて得点できる選手はたくさんいる、もっと多くの選手をプレーに関与させるべきだとね」

『バブル』でのシーズン再開当初、ポーターJr.は強烈なインパクトを残した。腰のケガで昨シーズンはプレーできず、今シーズンに1年遅れでNBAデビューを果たすも、その後もケガに見舞われた。ようやくコンディションの不安なくプレーできるようになった『バブル』で、彼は思いきったアタックと正確なジャンプシュート、ビッグマンとのゴール下での競り合いにも負けないフィジカルとリバウンドの強さを存分に見せ付けた。

だが、その後は好調と不調が交互にやって来ている。その要因の一つがマレーの好調の影に隠れてしまったことだ。こちらもケガから復帰してプレーオフに間に合ったマレーは、ジャズとのファーストラウンドで自分の殻を突き破るスコアラーぶりを発揮。ドノバン・ミッチェルとレベルの高い得点競争を繰り広げ、ジャズをねじ伏せた。だが、まずはマレーが攻め、それがダメならヨキッチに託すスタイルでは、ポーターJr.はボールタッチの回数が減り、リズムに乗れない。オフボールの動きに課題のある彼は、オフェンスで持ち味が出せなくなると、ディフェンスの粗が目立ち始める。こうして守備を意識するあまりオフェンスの積極性が出なくなり、悪循環に陥った。

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クリッパーズとの第3戦、第4戦はポーターJr.にとって久々に自分らしいプレーができていた試合だが、どちらも結局はマレーとヨキッチにボールが集中することで、自分でリズムを生み出すことはできていない。そのフラストレーションが冒頭の「ボールに触れていない」という発言に繋がる。

ナゲッツは1勝3敗と後がない状況に追い込まれた。勝ててない以上、不協和音が出るのも無理はない。ボールをどうシェアし、いかに効率的なオフェンスを組み立てるかはヘッドコーチの仕事であり、ポーターJr.は不満があっても遂行することが求められる。事実、遂行できていれば後半にボールが回って来ないはずはないのだ。

「ああ、ウチが負けているからだ」とポーターJr.は言う。「今夜はクリッパーズを100点以下に抑えられた。それは良いとしても85得点じゃ勝てない。僕らはあまりにも素直すぎる。クリッパーズは良いチームだけど、それで僕らが負けているんじゃ気分は良くないよね」

チームのバランスとはかくも難しい。ヨキッチとマレーのデュオが機能しているのであれば、ポーターJr.は黙ってそれを支えるべきだが、少なくともこの2試合では封じられている。何を変えるか、何を残すか。ここで打つ手が外れれば、ナゲッツのシーズンはここで終わることになる。そして、勇気を持って発言した以上、ポーターJr.はコートで結果を出さなければいけない。