文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

スミス、マブンガ不在を感じさない立ち上がり

アルバルク東京と京都ハンナリーズによるチャンピオンシップのクォーターファイナル第2戦。前半リードしながらも後半に失速し、第1戦を落とした京都は、さらにジュリアン・マブンガが出場停止となった。飛車角落ちの京都は粘りのバスケを披露するも、大量ビハインドを覆えすことができず69-78で敗れ、連敗でシーズン終了となった。

オン・ザ・コートは互いに「1-2-1-2」を選択。立ち上がり京都はA東京を上回るディフェンス強度を見せる。ボールマンへプレッシャーをかけ、マーカス・ダブがスティールとブロックショットでゴールを死守した。

残り2分半の時点で13-13と互角の戦いを演じるが、京都ディフェンスに慣れ始めたA東京は、ドライブとパスアウトの連携がハマり始め、確実にシュートチャンスをモノにしていく。11-0のランで締めたA東京が24-13と2桁リードで第1クォーターを終えた。

第2クォーターに入ると、オン・ザ・コート数の不利が徐々に出始める。外国籍選手が1人しかいない京都はゾーンディフェンスで高さの不利を埋めようとするが、オープンで3ポイントシュートを打たれ、タフショットを誘発してもオフェンスリバウンドを奪われるなど、ゾーンディフェンスの弱点を突かれ点差が広がっていった。

それでもダブがインサイドで奮闘し、晴山ケビンと坂東拓がしぶとく3ポイントシュートを沈め食らいついていく。結果的にこのクォーターを17-21で下回るも、外国籍選手の不利を感じさせない戦いぶりを見せた。

2度の20点ビハインドからカムバックする粘り

それでも後半に入ると、A東京にマンツーマンディフェンスを突破され失点を重ねる。残り6分、菊地祥平にインサイドを破られ36-56とされたところで京都はタイムアウトを要請した。

試合巧者のA東京を相手に20点のビハインドは厳しいかに思われたが、京都はここから持ち前の粘りを見せる。前半に攻略されたゾーンディフェンスを再び起用し、駆け引きをうまくしながら攻めどころを抑え失点を防ぐ。この劣勢の場面で運動量を上げディフェンスからペースをつかむと、伊藤達哉が連続パスカットからワンマン速攻を決め、9-0と走って粘りを見せた。

だが最終クォーターの立ち上がり、強度を高めたA東京のハンドチェックに苦しむ。2分間で3つのターンオーバーを犯すとブレンダン・レーンにフリーでミドルシュートを沈められ再び20点のビハインドを背負った。

タイムシェアを徹底するA東京に対し、プレータイムが30分を超える選手が3人いるなど、体力的に見ても勝敗は決したかに見えた。だが京都はすべてを出し尽くす覚悟で、前からプレッシャーをかけ、追い上げを開始する。ズレを運動量でカバーして失点を防ぐと、伊藤がボールをプッシュし速攻から得点を重ねた。残り1分26秒には伊藤が強引にシュートをねじ込み、9点差までカムバックした。

だがA東京はこれ以上の反撃を許さない。セカンドチャンスから小島元基がミドルシュートを沈め要所を締めたA東京は、常に10点前後のリードを保ち逃げ切り勝ちを収めた。

「みんなでハグして終わらせてあげたかった」

主力選手2人を欠く相手だったが、勝利したルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「10回戦えば9回は勝てるかもしれない。だがその1回が今日になるかもしれないと気を引き締めて、しっかり乗り切ろうと伝えた」とチームから油断を取り除いた。そして「中心選手がいない状況だと、他の選手がステップアップする傾向がある。それをさせないようにして、最終的には責任を持って個々がプレーした」と勝因を語った。

出場した10選手全員が4得点以上を挙げ、2桁得点はチームハイの12得点を挙げたザック・バランスキーのみ。A東京はどこからでも得点できる強みをあらためて証明し、難しい試合を乗り切った。

敗れた京都の浜口炎ヘッドコーチは「相手の3ポイントシュートが入るかどうか。単純にディフェンス力だけではない部分も、ウチが勝つには今日は必要だった。あれで勝てるという簡単な世界ではないが、ただ選手はよくボールを追いかけてましたし、最後までしっかりダシツクセたんじゃないかと思います」と試合を振り返り、選手に労いの言葉を送った。

京都は昨シーズンから9勝を上乗せし、チャンピオンシップに進出した。「ただ残念なのはシーズンが終わって、ロッカールームでみんなでハグして終わらせてあげたかった。それだけは残念でしたけど、選手はよく頑張ってくれました」とそこにいるはずの2選手がいない状況を浜口コーチは悲しんだ。

出し尽くした京都をチーム全員で退けたA東京は、栃木ブレックを連勝で退けたシーホース三河と次週のセミファイナルで激突する。